2009年07月08日

しんせん丼

 季節料理で深川丼を出している蕎麦屋で食事していたら、40代後半から50代と思しき男性が入ってきました。そして、いきなり「しんせん丼」と注文しました。
 一瞬、店員さんも何のことだか分からなかったようですが、数秒後に「ふかがわ丼ですか?」と確認し、お客さんも「そう、それ」みたいに答えて、注文が成立していました。
 普通に使われる日本語で「深川」を「シンセン」と読むことはありません。ただ、香港の隣に「深セン(漢字は土へんに川)」という大都市があります。誤読した人は会社員風ですから、中国関係の仕事をしているのだろうか、などと思いました。

 深川といえば、かつては「深川区」が存在したほどで、あのあたりを代表する地名でした。しかし、「深川駅」すら存在しないこともあり、地元の人以外にはなじみのない地名になっています。
 一方、「深セン」を調べてみたところ、30年前までは小さな漁村でした。ところが、香港に隣接するという地理的事情もあって経済特区に指定されて大発展し、現在は人口一千万人を越えるそうです。
 確かに、それだけ大差がつけば、深川から数キロしか離れていない蕎麦屋でも、「深川丼」を「シンセン丼」と呼んでしまう客が出てしまうのも無理はないな、と思いました。
 意外な所で、深センの発展ぶりを知ることができた、昼のひとときでした。

2009年07月08日 23:03