2008年07月22日

妄想がソースの記事とそれを信じる人

 サンケイスポーツに、昨日の甲子園で、不倫報道をされた読売の選手が打席に立ったとき、相手のタイガースファンも「歓声と拍手で迎えてくれた」という記事が載っていました。
 昨日、この試合の中継で、その場面は見ていました。しかしながら、記事に書いてあるような状況は見ることも聞くこともできませんでした。読売テレビのアナウンサー氏は新聞記事と同じような事を言っていましたが、画面には、そのようなタイガースファンは一瞬たりとも出てきませんでした。
 念のため、ネットで、当日甲子園にいた人の感想や写真を見たりもしました。しかしながら、嘲笑こそあれ、タイガースファンからの歓声や拍手などがあった、という話はどこにもありませんでした。

 つまり、どこにも記事に書かれたような事象は存在しないのです。先週、このスポーツ紙は、この不倫報道について、「フジテレビ局内にあった落書き」などを論拠として、女性アナウンサーを悪者扱いする記事を書いていました。
 その時もかなり呆れたものでしたが、今度は、その落書き程度の「事実」すらないわけです。つまり妄想だか幻聴だかを元に記事を作っているわけです。通常、そのような記事は「ねつ造」と呼ばれます。
 ここまでだったらまだ嗤い話ですみます。しかしながら、mixiでこの記事を元に書かれた日記を見たら、「阪神ファンも変った」などと、記事を事実だと信じている人が多数いたのです。
 ちょっと頭を使えば分かることですが、タイガースファンが、不倫したこの選手の復帰に好意寄せる理由などどこにも存在し得ません。にも関わらず、「新聞に書かれている」というだけで、この記事を信じてしまった人が少なからずいるわけです。
 今回のニュースははっきり言って、どうでもいいような事です。したがって、ねつ造記事が出ようと、それを信じてしまう人がいようとさほど実害はありません。
 しかし、もっと世間にとって重要な事で、同様の記事が流れたらどうなるのだろうか、と思うと嗤ってばかりもいられませんでした。その気になれば、商業マスコミは、「憲法」や「戦争」などで、同様の記事をさらに大量に流すことが可能なわけです。実際、70年前にはそのような事が行なわれました。
 当初は、自分にとって全くもってどうでもいい「不倫報道」でした。しかし、この二つの記事とその反響を見た時は、かなりそら恐ろしい物を感じました。

2008年07月22日 23:50