2009年05月24日

さりげない表現

[ 漫画 ]

 「OL進化論」の29巻を買いました。カバーの作者挨拶を読んだら、長年飼っていた猫の「みりん」と「ちび」を見送った、と書いてありました。この二匹については、作者は何度か漫画にしており、1990年代初頭に出た単行本「ミドリさん」の巻末などに掲載されています。他にも様々な所で描いており、読者としても少なからぬ親近感がある猫でした。
 ところが、作者挨拶では、その二匹の描写は「見送った」で終わり、後は代わりに飼った猫についてのみ書いてあります。一瞬、「長い付き合いの割りにはあっさりしているな」と思いました。

 そして、最後も「変わっていくこと、それを受け入れること、猫師匠に教わることは多いです」で結んでありました。一見すると、これについても、新しい猫について書いたようにも思えます。
 しかし、再度読んでみて、これは去っていった二匹についての感謝の一言なのでは、と思いました。
 「ミドリさん」の巻末漫画でも、猫たちに教わった事について描いていました。そして別れた時も教わったと言っているわけです。
 あえて新しい猫を主題にすることにより、文章を湿っぽくせず、それでいて別れた二匹に最大限の感謝を述べたのでしょう。
 前々から漫画のみならず文章も好きでしたが、改めてその旨さに感心するとともに、猫への深い愛に感心させられた短文でした。

2009年05月24日 11:25