2008年12月01日

FA報道雑感

 FA宣言をした、横浜の三浦選手が残留を決めました。セリーグではタイガースを応援していますが、「FA補強」はあまり好きでないので、この選択は横浜のためにはもちろん、タイガースのためにも良かったと思っています。
 タイガースと交渉してから結論を出すまでの心境は、談話を見る限り、本人が言っていた通り「五分五分」という感じでした。
 ところが、報道では、常に「三浦、タイガース入り目前」という感じでした。中には、横須賀球場での秋季練習で、終了後にグラウンドを掃除した、というだけで、「これは決別の意思表示」などと報じた所もありました。

 FA権を取得した千葉の選手が球団と交渉した時もそうでしたが、なぜ的確な情報を持っていないのに「移籍ほぼ確実」などと書くのでしょうか。確かに、一部のタイガースファンはそれを読めば喜んだかもしれません。しかし、それはあくまでも一時的な話で、この結論が出た後は、期待しただけ、喪失感が強いと思います。
 一方、報道を見て不安感を持ったファンも多くいたでしょう。私も、しばらく前の「千葉の○○選手、FA移籍確実」という記事を見る度に、「出て行っても応援はする」とは思いはしたものの、いい気分にはなりませんでした。
 というわけで、ずっと不可解だったのですが、一つの推論が思い浮かびました。

 スポーツ紙の野球結果報道は、相変らず、デイリー・中日および、地方スポーツ紙を除けば、読売中心です。さらに、続いて、タイガースなどの結果がそこそこ載りますが、それ以外、特にパリーグの扱いはおざなりです。読売戦だけで、一面から三面まで使う一方、パリーグは三試合合わせて半ページ、というのも珍しくありません。
 その考え方なら、シーズンオフも、事実よりも売れることを優先した、読売第一でタイガースが第二、他球団やパリーグは、やられ役、というような記事を作るのも当然なのかも、と思いました。
 スポーツ新聞が紙媒体だけだった時は、それで良かったのかもしれません。しかし、現在は、各記事はネットで配信され、どの球団のファンも見れるようになっているわけです。そのような中、かつてと同じような。特定球団中心の思考で記事を作れば、このような結果になってしまいます。同時に、スポーツマスコミにひいきされない球団のファンにとって、これらの「誤報」はなかなか忘れる事はできません。そして、そのまま、新聞社の取材能力の評価にも直結します。
 思い起こせば、私もここ数年、スポーツ新聞は一切買っていません。別に、ネットで記事を見れるようになったから、というわけではありません。ネット配信が普及した後も、主な試合や事件があった翌日には買っていました。
 そのスポーツ紙購入を辞めたのを振り返ってみたら、2005年に千葉が優勝した後でした。本人が「マジックではない」と言うにも関わらず、「ボビーマジック」という言葉を連発するのを始め、さまざまな安易に書かれた記事を見て、「金を出して買う価値はない」と思うようになったのです。
 他にも、野球界を取り巻く情勢は色々と変わっています。しかしながら、スポーツ紙の体質が変わる気配はありません。この調子で、既存スポーツ紙の「東スポ」化が進行する事が、読む側にとって、どのような変化をもたらすのか、気になっています。

2008年12月01日 23:52