2008年11月23日

WBC辞退問題

 数日前から、「中日がWBCボイコット」みたいな記事が新聞を賑わしています。きっかけは、21に行なわれたWBCのスタッフ会議後に原監督が「一球団で一人も協力者がいなかった」と発言したことです。ここでは球団名は伏せてはいましたが、読売新聞は名指しで「中日」と報じました。
 これを機に、スポーツ新聞などが「中日たたき」を始めました。しかし、この一連の流れにはかなり疑問があります。

 まず、WBCの辞退者が出たのは、これに始まった事ではありません。前回も、ヤンキースの松井秀喜選手を始め、少なからぬ辞退者が出ました。ただ、大リーガーである松井選手は話題になったものの、国内の選手の辞退に対して、このようなバッシングみたいな事は起きませんし、マスコミも煽りませんでした。
 また、今回に限っても、別にこれが初の辞退ではありません。東京の宮本選手と読売の上原投手は五輪直後にWBC辞退を明言しています。さらに、千葉の里崎選手も今季の故障を理由に、読売の李選手は、日本シリーズなどの不振を理由に早々とWBC辞退を宣言しています。
 もちろん、李選手は日本チームとは関係ありません。しかし、「怪我したわけでもないのに、WBCに出ない」と宣言している意味では本質的に変りがないでしょう。
 もう一人の上原投手にしろ、いくらFA宣言が確定していたとはいえ、不出場宣言した時点ではまだ読売の選手です。にも関わらず、特に咎められたような事はありませんでした。
 このように、自チームの選手が怪我以外の理由で辞退しているなか、特定の球団を批判する原監督の発言はいかがなものかと思います。
 また、辞退したというドラゴンズの選手の人選にも疑問が残ります。怪我していない若手二人ですが、WBCに登録されるのは30人で、今回名前が挙がったのは48人です。つまり、18人は落とされるわけです。
 そう考えたとき、浅尾投手や高橋投手が30人枠に残る可能性はどのくらいあるのでしょうか。他に選ばれるであろう中継ぎ投手と比べれば、両投手は実績を残した期間が短すぎます。選考段階で、よほど桁違いの内容を残さない限り「18人」になるでしょう。
 そのような中途半端な扱いをされて調整に失敗しても、誰も責任は取ってくれません。そう考えれば、最初から断るのは、至極当然と言えます。

 ちなみに、前回率いた王監督は、この件に関し、「前回も、表には出していないけれど辞退者はいた」と言っています。つまり、結果的に優勝したにも関わらず、今でも三年前の辞退した選手を守っているわけです。それと比べても、自球団で辞退者が出ている中で、「特定球団批判発言」を行なう原監督および読売代表の発言は極めて不適切です。
 代表選手が決まる前から、首脳陣の器が小さいことがはっきりしてしまいました。「ドラゴンズの選手が出ない」事より、そちらのほうが問題でしょう。前途はかなり厳しそうです。

2008年11月23日 23:07