2008年09月21日

立ち読みで失敗

 昨年まで千葉の二軍監督を務め、今年から二軍ヘッドコーチとなった古賀英彦さんを題材とした「二軍監督」という本が発売されました。興味があったので冒頭部分を立ち読みしたところ、想像以上に波瀾万丈の半生だったようで、せっかくだからと購入しました。
 九州の名門高校での活躍に始まり、六大学入りに失敗すると、都内で数日間ホームレス生活した後にキャバレーに勤めた、というところから驚かされます。その後、別の大学に入って活躍してプロ入りしたものの、芽が出ずに解雇され、アメリカに渡ります。さらにそこで野球をやった後は事業に手を出し、博打で失敗して、酒の密輸で食いつなぐなど、テレビや写真で見る、好々爺的な外見からは想像できない生活には驚かされました。

 そこまではいいのですが、肝心の「二軍監督」という部分についての記述には失望させられました。帯に、二軍監督として育てた選手として、今江選手や西岡選手の名前があるのですが、彼らについての逸話は何らありません。
 その前にやっていた福岡での二軍監督についても、城島選手や川崎選手の逸話が少々出てくる程度で、一番長く記述されていたのは、「王監督との喧嘩」でした。
 というわけで、「日米を股にかけた波瀾万丈の人生」としては面白かったのですが、「二軍監督」の本としては、完全に期待はずれでした。
 原因の一つとして、著者があまり野球に明るくない、という事もあるのでしょう。たとえば、早川選手の活躍についても、古賀氏の功績であるかのように書いていますが、彼が、千葉に来てから一軍を外れたのは、怪我をしていた一週間程度です。にも関わらず、そのような表現をすると、まるで、古賀氏がどこぞの「ワシが育てた」氏みたいになってしまい、むしろ印象が悪くなってしまうのでは、とまで思ってしまいました。
 結果論ですが、冒頭部分でなく、後ろのほうに書かれた、「二軍監督時代」の記述から立ち読みするべきでした。
 なかなか時間が取れない現状において、有意義な読書を行なうためには「立ち読みの技術」も向上させねば、と思った次第でした。

2008年09月21日 22:30