2008年06月22日

生家

 書店の廃墟写真集コーナーに行ったら驚きました。「団地写真集」という本の表紙に、私が生まれ育った団地の建物と、うり二つの棟が載っていたのです。違いといえば、四階建てと五階建ての差くらいです。建物のみならず、その前にある通路や芝生の構成までそっくりでした。
 興味を持って読んでみたところ、この建物は、かつての住宅公団が1960年代前半までに、全国の団地に造っていたスターハウスという形式のもの、との事でした。団地マニア(?)の間では、かなり貴重なもので、そのため、表紙を飾ったようです。

 自分にとって、この「スターハウス」は産まれてから8年くらい住んでいた建物です。つまり、自分にとって「家」という最初の概念は、この建物でした。
 それが実は、40数年前を最後に造られなくなった形式であり、もはや、「廃墟」に分類されつつある、というのは少なからぬ驚きがありました。
 ちなみに、二年前に都市機構が発信した情報を見たところ、上のリンク先にも載っている我が生家は、「建替事業計画に伴い、入居者の募集を停止しているところですが、このたび、建替え着手までの間、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)により募集を再開」という位置づけで、2010年までの期間限定で募集をした、とのことでした。
 すでに「廃墟」に近い存在なうえに、二年後の取り壊しまで決まっているわけです。それが世の常とはいえ、やはり寂しさを感じました。

2008年06月22日 22:25