2008年05月02日

硫化水素ブーム?

 何だか知りませんが、「自室などで硫化水素を化学的に発生させ、それを吸って自殺する」というのが流行しているようです。
 そしてそれに対し、世の中ではいろいろな「対策」が練られているようです。何でも、教科書における「硫化水素を発生させる」実験の記述を見直そうという動きがあるそうです。また、今日、電車の中で見た週刊誌の中吊り広告には、「硫化水素自殺は、言われているほどいいものではない。苦しむ上に死体には斑点ができる」などという、「自殺防止キャンペーン記事(?)」が掲載されていました。

 彼らは、いろいろな方法で「硫化水素自殺」を阻止する方法を考えているようです。それは結構なのですが、何か根本的に間違っています。なにしろ、これらの記事を見ると、防ぐべき事は「硫化水素を使うこと」なのか「自殺すること」のどちらなのか分かりません。
 いくら「硫化水素を使わせない事」を考え、広報しても何の意味もないでしょう。仮にそれらの活字によって硫化水素を使うことを断念する人がいたとしても何ら意味はありません。その人は、異なる自殺の方法を探すだけです。
 ここまで書けば分かるように、本来必要なのは「硫化水素を使わせない」事ではなく、「自殺をさせない」事であるのは明白です。そう考えると、一連の「教科書記載見直し」の動きや、「硫化水素で自殺すると・・・」などという記事は、明らかに本質からずれ過ぎている事がよく分かります。
 もっとも、「75過ぎたら無駄に医療費など使わず、早く死ね」と言っているとしか思えないような政治がまかり通っている国なわけです。そう考えると、「自殺を思いとどまれば、いい事がある」などと胸を張って主張できないのも仕方ない、と言わざるを得ません。
 そのように考えていくと、最近の「反・硫化水素キャンペーン(?)」は、あえて「年々増えている自殺数」という現実から視点をずらすために、わざとやっているのでは、などとまで思えてくるようになってしまいました。

2008年05月02日 02:19