2008年01月26日

誇りと歴史と文化

 読売新聞の「調査結果」として「「日本国民に誇り」93%で過去最高」なる記事が載っていました。なにをもって誇り、何をもって恥とするのか、また、それは他国のなにと比べてか、などと考えると、答えるのが極めて難しい質問のように思えます。
 たとえば、私なんかは、「不戦の憲法九条を持っている」事は誇れると思いますが、「アメリカの言いなりになって大量殺戮の片棒をかついでいる政府」は誇れません。また「世界大会で優勝するほどの実力を持つ野球選手達」は誇れますが、「自分達の利益だけを考えて、毎年のようにルールをいじくる球団が『盟主』としてのさばっている現状」は誇れません。

 このように多種多様な人々・団体・自然・人工物があるのに、一概に「誇れる/誇れない」と割り切ることができるのか、極めて不可解です。
 ちなみに、「誇れるものの具体的内容」の第一位は「歴史・伝統・文化」だそうです。このくくりもかなり漠然としすぎています。たとえば、私のように「70年前の侵略・虐殺の歴史」を日本の恥と思い、「高度に発展した漫画文化」を誇りに思う人間は、「歴史・伝統・文化」を誇っているのでしょうか、誇っていないのでしょうか。
 他にも、「国民の一人として、ぜひとも国の役に立ちたい」との考え方についてという、分かりにくい質問もありました。これについても、「70年前において、軍隊に志願して中国で人を殺すのと、反戦運動をして警察につかまるのと、どちらが『国の役に立った』のか」などを例示してくれないと、正確な回答はできないと思うのですが・・・。
 よくもまあ、こんな、答えようのない質問や選択肢ばかり作ったものだと、驚かされました、まあ、この「調査」の目的は「多くの国民が日本に誇りを持っている」という「結果」を宣伝するためのものです、そのため、最初から質問の内容など深く考えていないわけですから、当然と言えば当然なのかもしれませんが・・・。

2008年01月26日 01:31