2007年08月17日

結果の有無で印象が百八十度変わる台詞

 「ウルトラマンエース」に、「梶さん」というキャラがいました。ウルトラシリーズ定番の、「主人公も所属する防衛組織」であるTACの一員なのです。ただ、この人はかなり異色で、絶体絶命の非常時でもなければ戦闘には加わらない、純然たる技術専門職なのです。とはいえ、戦いの場面がないと、やはり目立つことはできません。そのため、各隊員に一回くらいはある「隊員個人のエピソード話」も作ってもらえませんでした。

 ところが、その彼が非常に印象に残った話がありました。それは、彼の開発した新兵器が設計図ごと破壊された、という時です。しかし、彼は平然と「設計図はもう一枚あります」と言い放ちます。そして、いぶかる皆の前で、自分の頭を指さしました。つまり、もう図を見なくても作れる、という自負なのです。そして有言実行で見事新兵器を作り直し、それで敵を倒していました。
 この場面の印象が強く、おかげでこの「梶さん」という名前は今でも覚えています。それくらい、この「頭の中にある」は、心に残る決め台詞でした。
 ところが先日、ある仕事をしているときに、全く同じ台詞を聞く機会がありました。その人が「梶さん」を知っているかは不明です。いずれにせよ、かつてTVで見た場面同様、自信満々の態度で彼は自分の頭を指さしました。
 しかしながら、「梶さん」とその人には決定的な違いがありました。彼は、その「頭の中にあるもの」を、どこにも具現化できていないのです。それではただの「脳内設計図」でしかありません。結果だけ考えれば、何もしていないのと同じです。
 小学生の時にその話の再放送を見たときはは純粋に感心させられた台詞でした。しかし、それから30年近くたって初めて「この台詞は、言うと同時に結果を出せるから凄いのであって、出せなければみっともないだけだ」という事に気づきました。
 それに気づかせてくれた、という意味では、この「脳内技術者」には感謝すべきなのでしょう。もっとも、仕事でこんな人に関わってしまった人にとっては、迷惑以外の何者でもないでしょうが・・・。

2007年08月17日 02:23