2007年08月11日

重要な情報を伏せる煽り報道

 中田英寿氏が、朝青龍関の問題について、問題とされているサッカーイベントでの状況紹介を含め、見解を書いています
 中田氏は、イベントの直前に朝青龍関が優勝した事に言及し、サッカーイベントに出演できない体調ではないが、怪我の具合は良くなく、巡業を休んで治療する事がおかしいとは思わない、という旨の記述をしています
 至極当然の話です。先日、「朝青龍仮病事件」の報道についてで書きましたが、優勝したのが22日、サッカーイベントに出演したのが25日で、その間に怪我はしていません。この事実だけで、「25日のサッカーイベントに出演したから仮病」という論理が成り立たないのは明白なのです。

 ところが、中傷を意図した報道はもちろんですが、状況説明に徹した報道でも、この時間軸を書いたものを見たことがありません。たいてい、「千秋楽の後に帰国し、25日にサッカー」です。報道がキャンペーンを張ると、どんな非論理的・非常識な事でも鵜呑みにする人が多いですが、さすがに、「サッカーの三日前が本場所千秋楽だった」という事に気づかれると、煽りが失敗する危険性があると思っているのでしょうか。
 2年半ほど前に、JR西日本が百人ほどの死者が出る大惨事を起こした事がありました。ところがその「犯人」であるJR西日本が何ら関係ない社員が飲みに行った事をリークすると、事件そのものの問題より、そちらのほうがが大々的に報道されました。その煽りは成功し、その結果、「百人が死ぬほどの事故を起こした会社」より「関係ない社員が飲みに行った事」に腹を立てる人が大量に発生しました。
 今になって冷静に考えれば異常きわまりない事ですが、当時のマスコミの煽り報道を真に受けると、普通にそういう感情になってしまう人が少なからず発生してしまうのです。
 もちろんこんな事は今に始まった事ではありません。それこそ、1940年代前半には、連日のように新聞は大嘘を書いていました。そこから何ら進歩せずにここまで来ているわけですが、なぜか不思議と、読者・視聴者は煽られ続けます。
 奇妙かつ不思議な気分になると同時に、「煽りの対象がもっと物騒なものだったら・・・」と恐怖感も覚えます。

2007年08月11日 23:06