2007年07月28日

子供向けサッカー教室と相撲巡業は運動量が同じ?

 この前の名古屋場所で優勝した朝青龍関が、腰の疲労骨折で夏巡業の休場届を出しながら、モンゴルで政府や日本外務省の依頼を受けて子供を指導するサッカーイベントに10数分ほど出場して、中田英寿氏のパスを受けてシュートなどをしたそうです。
 これをフジテレビが報道したところ、例のごとく「朝青龍バッシング」が発動。産経新聞などは「引退勧告すべきだ」などと騒いでいます。

 記事を見ていると大事件が発生したようですが、果たしてそのような大騒ぎすべきことなのでしょうか。仮にこれが「朝青龍関は、相撲の横綱とモンゴルのプロサッカー選手を兼任しており、相撲は休んだにも関わらず、モンゴルの公式戦には出た」などという事なら、確かに力士として問題があるかもしれません。しかしながら、出場したのは、子供向けの行事です。別に全力を尽くしてサッカーをやったわけではありません。少なくとも、相撲を取ることに比べれば、散歩レベルに等しい運動量でしょう。
 対して、相撲の夏巡業は、群馬を起点に東北さらには北海道を回り、最後は群馬に戻る、という行程で、ほぼ毎日異なる場所で、お客さんの前で稽古・土俵入り・花相撲などを行う、というものです。子供向けサッカー教室とは消費する体力・怪我の悪化の危険性とも、次元が違うのは明白です。
 だいたい、朝青龍関は先週の日曜日に本場所で優勝したばかりです。そして千秋楽の一番で怪我したわけでもないようです。その横綱が、場所終了の数日後に行われた子供相手のサッカー教室に出れないほどまでの状態だった、というのでしたら、むしろそのほうが異常です。
 とくにこのバッシングで大袈裟に騒いでいるのが、日頃から「愛国心教育」を宣伝している産経新聞だというのが笑えます。普段の論調からすれば、「夏巡業に出れないほどの故障をした朝青龍関だが、母国政府、さらには第二の故郷である日本の外務省の要請もあり、あえてサッカー教室に出演し、シュートまで放った。これぞ愛国者の鑑だ」とでも褒め称えるべきではないでしょうか。
 一連の報道を見て思ったのは、相も変わらずバッシングを繰り広げる商業マスコミの「品格のなさ」と、高砂親方はまた弟子の足を引っ張るような発言をしているな、という事だけでした。もちろん、同様に感情的な発言を続ける協会幹部にも呆れています。朝青龍関については、こんなに身内に対して冷たい部屋・協会には早く愛想をつかし、33回目の優勝をした時点で相撲は引退して別の格闘技に転向し、そちらで頂点を目指すほうが、人生として得なのでは、とまで思えてきてしまいます。

2007年07月28日 23:33