2006年08月23日

「野球の基本」後編

 前回に続き、「ベース踏み忘れの確認」がなぜ「基本中の基本」なのか、という事を考えてみます。
 あの場面、打球がスタンドに入り、それを審判が判定し、本塁打となりました。そうなると、その時点から次打者への投球が始まるまでの間、守っている選手がチームの勝利のためにできることは一つしかありません。それが、「走者の触塁を確認し、万が一踏んでいなかったらアピールアウトにする」です。言うまでもなく、野球は、相手より1点でも多く取ってチームを勝利に導く事を目的としたスポーツです。従って、本塁打の判定が下った後は、野手はその確認を必ず行わねばならない、という事になります。他に取りうる選択肢はありません。そうやって考えてみると、確かにこの「踏み忘れ確認」は基本中の基本です。
 さらに、今江選手のブログでは、この「確認」とともに、「ベースカバー」を挙げています。
 ベースカバーはインプレーの時に生じる事なので、「それしか選択肢がありえない」とまで断言はできないかもしれません。とはいえ、その動きは体系化されており、ほとんど必須となります。たとえば、「走者が三塁にいて捕手が球を捕れなかったら、投手が本塁に入る」という感じです。この時、投手が他に取り得る行動はありません。

 ここまで進めると、今江選手が言うところの「基本中の基本」の共通点が見えてきます。それは、「(野球の目的である)チームの勝利のために、必然的にやらねばならない行動」となります。
 また、この行為は、技術とは関係がありません。プロだろうと、野球を始めてやった人だろうと、行う事は可能ですし、行う必要があります。
 こうやってまとめると、「踏み忘れ確認」は、確かに「基本中の基本」だ、という事が分かります。
 また、逆にこの件から、「基本とは何か」という事が一つ見えてきます。先ほども書いたように、ここで述べた「野球の基本」は「誰でもやることが可能で、必ずやるべき事」です。これは、野球のみならず、他の事で「基本」と言われているものに共通しているように思われます。
 というわけで、野球を通じて、一つ「基本という言葉」が持っているものが見えた、という形でまとめさせていただきます。

2006年08月23日 23:34