2006年08月21日

「基本」という言葉

 一年ほど前から「基本」という言葉に強い関心を持っています。この言葉の意味を知らない人はいないと思います。そして、日常でもよく「これが基本だ」とか「基本ができていない」というように至る所で使われます。
 しかしながら、「物事の共通かつ重要な土台」という意味合いで使われる「基本」ですが、多くの人がその概念を共通化しているかというと疑問です。むしろ、人の数だけ「基本」がある、とまで言えるかもしれません。
 この普遍的で重要にも関わらず、定義が難しい「基本」という言葉について、色々な使用事例を挙げて考察する不定期連載をやろうと思い立ちました。

 さて、最初の題材として、当サイトの主要コンテンツの一つである「野球の基本」を挙げてみようかと思います。2ヶ月ほど前、「本塁打の時に一塁にいた走者が三塁を踏み忘れてアウトになり、本塁打が取り消された」という事件がありました。いろいろと物議をかもした事件でしたが、その物議とは別に、印象に残る事がありました。
 ベース踏み忘れを目撃し、アピールアウトを成立させた三塁を守っていた今江選手は、本人のブログや新聞記者の取材に対し、「ベースを踏む確認というのは基本中の基本」と語っています。
 実際、後日行われた試合を観戦したとき、相手選手が本塁打を放った時に今江選手を見ていたら、それまでは別の方向を向いていたにも関わらず、自分の後ろを走者が通ると振り向いてベースを踏んだかどうかを確認していました。その仕草を見ていると、まさしく「基本中の基本として体で覚えている」という風に感じさせられました。
 では、なぜこの「ベースを踏んだかどうかの確認」が「基本中の基本」なのか、という事について、次回以降で考えてみたいと思います。

2006年08月21日 23:10