2006年03月25日

漏洩ブーム

 ここのところ、連日のように「ファイル交換ソフトの使用が原因と思われる情報漏洩」が報道されています。そして、官房長官が「Winnyを使うな」などと発言したり、セキュリティ会社などが、さまざまな「Winny対策システム」を売ったり配ったりしています。中には「大企業向けで1台1万円で500台から販売」などという対策システムもあり、もしこれで会社が儲かったら「Winny特需」とでもなるのだろうか、と思えてきます。
 私自身は、ファイル交換ソフトを使ったことがなく、当然ながら、突っ込んだ知識はありません。しかし、「すべてWinnyが悪い」とか「Winnyさえ入れなければいい」というのは、そのような私から見ても、やや見当違いなのでは、と思います。

 だいたい、仮に何らかの手段で、Winnyによるファイル交換ができなくなったとしたら、どうなるのでしょうか。おそらくは、どこかの誰かが、「Winny防止システム」の影響を受けない新たなファイル交換ソフトを開発するだけの話しょう。そしてそれが流行し、さらにはそれ用のウイルスがまた開発される、というだけの話になるのではないでしょうか。
 つまるところ、「ファイル交換ソフトなどによって正当な手段では入手できないファイルを無料で入手しよう」という人がいる限り、状況は変わらないわけです。また、この文章の主旨とからは外れますが、「ファイル交換ソフト」以前の問題として、メールなどを介して広まる「PCの中身を晒すウイルス」というものも存在します。
 さらに、このような「技術的な問題」とはまた違った重大な要因もあります。仮にその「漏洩者」に課せられる労働量が、1日8時間の仕事で間に合うものだったらどうでしょうか。そうなれば、彼らは業務用データを、ファイル交換ソフト入りの自宅PCで処理する事はなかったでしょう。したがってこのような「業務で使った情報が、ファイル交換ソフトにより漏洩」は起きないはずです。
 こうやって整理すれば、この問題は「不正な手段でのファイル入手」と「勤務時間内で処理できない仕事量を課せられている」の二つが組み合わされて発生しているわけです。たまたま媒介したアプリがWinnyだった、というだけで、この二つが解決されなければ、Winnyと関係なく同様の問題はいつまでも発生し続けるでしょう。極端な話、IEを媒介にして同様の問題が発生する事すらありえます。
 その当たりを分からずに勘違いした「Winny禁止令」が出ているのか、それとも分かっていながらわざとWinnyに全原因を押しつけているかは分かりません。いずれにせよ、こんな「対策」では問題が解決される日は相当遠そうです。

2006年03月25日 23:28