2005年12月09日

183系

[ 交通 ]

 国鉄の183系という特急車両は、もともと、東京と千葉県を結ぶ急行を特急に「値上げ」するために導入された車両でした。一時期は、かなりの区間で走っていましたが、老朽化もあって、段々と新型車両に置き換えられていきました。また、数少ない「生き残り」も車体改造などとともに、色が塗り替えられ、登場した当時の「国鉄特急色」で走りつづけるのはかなり稀になっていました。その中で、「生誕の地」である、千葉県を走るものについては、その登場時と同じ塗色で走っていました。

 千葉に住むようになってからは、帰宅が遅くなった時の「ホームライナー」としてこの183系を愛用するようになりました。全国的には珍しくなった「旧国鉄特急色」ですが、ここに住んでいる限りは、「一番見慣れた特急電車」でした。
 しかし、寄る年波には勝てず、ついにこの12月9日を最後に新型車両に置き換えられる事になりました。その定期列車としての運用が最後になる本日、仕事が遅くなった事もあり、「ホームライナー」に乗りました。普段は、座席が改造された車両を選ぶのですが、今日は、登場時の座席がそのまま使われている車両をあえて選びました。
 もちろん、車内にいる通勤客にとって、「これが最後の183系」などという認識はなく、普段と何ら変わりがありません。そして、21時8分に新宿駅を発車した183系は、これまた普段と何ら変わりなく千葉を目指して走り出しました。
 発車してから約40分後、津田沼駅で下車しました。記念に列車の腹にある型番を携帯で撮ろうとしたところ、その型番の部分はガタガタになっていました。それを見た時、この車両が30年以上活躍していた事を、改めて認識しました。
 そして、乗り換えのために各駅停車のホームへ移動しました。そちらのホームに着いたら、ちょうど183系が発車しようとするところでした。これまで何度も見た風景です。しかしながら、明日からはもう二度と見ることができない風景です。そう思うと、なんか不思議な気分でした。

2005年12月09日 23:58