2005年10月27日

日本シリーズ感想

[ 野球 ]

 始まる前4-2くらいでマリーンズかと思っていました。したがって、歴代の日本シリーズの中でも稀に見る圧勝という結果には、正直、驚いています。
 実際、交流戦ではマリーンズの3勝2敗1分で1点差1回に3点差3回という接戦でした。そう考えると、額面通りの実力差が両チームの間にあったとは思えません。かといって、巷で喧伝されているような「マリーンズはプレーオフを第1ステージからやったから」とか「タイガースは公式戦終了から日本シリーズ開催まで間があった」という野球以外のの要素だけで決まったとも思ってはいません。
 確かに、昨年・今年の結果も鑑みると、「現在の制度は、パリーグ2位の球団に最も有利」という仮説が立ってもおかしくないとは思います。私自身も、上位球団に対するアドバンテージなど、制度に問題はあると思っています。とはいえ、単純にプレーオフを7試合やったからマリーンズが勝った、というのも変な話です。実際、このプレーオフの過程において、マリーンズは小坂選手が離脱し、堀選手も数試合の欠場を余儀なくされました。3人で回している二遊間から1.5人が欠けたのは戦力的にはかなりの痛手だったと思います。それに対し、タイガースは優勝メンバーがそのままシリーズに出場しました。それだけ考えると、むしろタイガース有利と言えなくありません。
 あと、試合間隔の問題についても、過去の例からすると、20日以上空いた球団の日本シリーズでの成績は7勝9敗とちょっと負け越している程度ですから、あまり意味がありません。
 また、この大差の原因の一つに、タイガースの研究不足もあったのでは、と思います。特に、交流試合で9回1点に抑えられ、試合後の談話でも手強さを感じていたはずの渡辺俊介投手に対し、その時を上回る内容で完封された、というのが象徴的です。普通は、一度手痛くやられた相手に対しては、何らかの対策を研究すると思うのですが・・・。渡辺俊投手の状態も、前に投げたホークス戦では無失点とはいえ毎回被安打でした。したがって、前半から交流戦にかけての頃ほどの圧倒的な良さはなかっただけに、その「無策ぶり」は気になりました。対照的に、マリーンズは交流戦で完封された井川投手を打ち込んだだけに、よりその差は目立ちます。

 というわけで、史上稀に見る大差になった事については、ある程度は外的要因もあるかとは思います。ただ、マリーンズが勝ったという結果自体は、まあこんなものかな、と思っています。
 まず、投手陣の厚みですが、これははっきりマリーンズが上でした。今季終盤になって、藤川投手の80という登板数記録更新が話題になりました。はっきり言って、現代野球において、この記録はあまり誇れないのでは、と思います。先発陣がもっと長い回を投げる事ができれば、継投陣がそこまで投げる必要はないわけです。ほぼ同じ勝数ながら、同じような位置付けにある薮田投手の登板数を51に抑えたマリーンズのほうが、むしろ誇る事ができるでしょう。同様に、藤田投手とウイリアムス投手、小林雅英投手と久保田投手の登板数も同じく30近い差がありました。この差が、「史上初の1度もリードを許す事のないシリーズ制覇」につながったのでは、と思っています。
 打力のほうは、金本選手や今岡選手のようなともに100打点を越す強力な大砲を擁するタイガースに対し、マリーンズは最高でも30本塁打82打点の李選手くらいしか、「大砲」はいません。しかし、総合力を見れば、どこからでも攻撃を作れて、どこでも返す事ができるマリーンズ打線とほぼ互角だったと思います。
 しかも、そのタイガースの両大砲をほぼ完璧に抑えたのは大きかったでしょう。交流戦の2敗は、この二人の一発がそれぞれ決勝点になっていました。その事をふまえての研究もあったのかと思われます。
 対するマリーンズ打線ですが、これははっきり言って出来すぎ。今季3試合連続二桁得点は一度ありましたが、その時はうち2戦はイーグルス相手でした。そう考えると、この日本シリーズは一年で一番打線が好調な時が巡ってきたような感じです。
 というわけで、こんな勝ちかたはもう二度とできないとは思いますが、今の両チームで日本シリーズをやれば、10回やれば6回はマリーンズが制覇するのでは、と思っています。

 なお、私は現在はマリーンズファンですが、長い事タイガースファンでしたし、今でもセリーグではタイガースを応援しています。そういう点では、この惨敗は寂しいものがあります。とはいえ、今季のセリーグ優勝はやはり素晴らしい事ですし、その価値は日本シリーズとは関係なく誇れるものだと思っています。
 なお、そういう立場もあって、終了後の甲子園で、両球団のファンのエール交換が行われた、という記事を読んだ時は、非常に嬉しいものがありました。
 ところで話は変わりますが、今年のポストシーズンは、交流戦1位の球団がまず前年の日本一に勝ち、続いてパリーグ1位、そしてセリーグ1位に勝った、という形になったとも言えます。そう考えると、なかなか見栄えのいい「日本一」なのではないかと思っています。まあ、あくまでもマリーンズファンの身びいきなのかもしれませんが・・・。

2005年10月27日 23:45