2005年10月16日

先祖の数

 「先祖の霊が祟っている。それを祓うには我々に金を払って○○を・・・」というのは、インチキ商売の王道です。なんらかの辛い状況にある時にこのような詐欺師の「プロのだまししゃべり」を聞いてしまうと、つい信じてしまう人も出てくるのでしょう。
 しかし、冷静に考えてみると、「先祖」というのは何人いるのでしょうか。二代前・すなわち祖父母は4人、三代前・すなわち曽祖父母で8人、四代前なら16人・・・。一世代で30年差とすると、180年くらい前にいた六代前の先祖だと64人にもなってしまいます。その全ての先祖が一点集中で一人の子孫に祟っているとでもいうのでしょうか。
 しかも、子供の数の平均を2人とすると、その「先祖」一人につき、同じくらいの数の子孫がいるわけです。となると柄の悪い「先祖の霊」とやらは、それだけ多くの子孫に分散して祟ったりするのでしょうか。しかも、「お祓い」を受けた子孫にだけは祟らない、などといった「調整」もしなければいけないわけです。考えれば考えるほど、荒唐無稽な戯言としか言いようがありません。
 もっとも、この詐欺はかなり昔からあるようです。先ほど書いたように、一世代増える度に「先祖」の数は倍増するわけですから、その数多い自分の遠い先祖の一人がその詐欺に加担していた可能性もゼロではありません。そういう意味では、この詐欺にあう事自体は「先祖の祟り」と言えるのかもしれませんが・・・。

2005年10月16日 23:08