2004年12月21日

かわいい白鳥の子

 TVで白鳥の雛を見る機会がありました。白鳥の雛というと、童話「みにくいアヒルの子」の影響で「みすぼらしい」という先入観があったのですが、実際に見てみると、確かに灰色の羽毛は白鳥らしくはありませんが、その姿は愛らしいものでした。
 それの姿を見ていて、童話「みにくいアヒルの子」の事が気になりました。あの話の「主役」はアヒル社会で差別をされ、その後アヒル社会を抜け出して成人(?)し、自分が美しい白鳥である事を知ってめでたしめでたし、となります。
 しかし、この「みにくい子」「美しい成鳥」というのは、この話を作った人間の主観でしかありません。そして勝手に「アヒルの雛>白鳥の雛」「アヒルの成鳥<白鳥の成鳥」と決め付けて、「出世」した事にしているだけです。アヒルの立場からすれば、かつての「みにくい子」が白鳥になったのを見ても「あいかわらず変な姿をしているな」としか思わないでしょう。
 作者はただ単に、白鳥の雛と成鳥の違いに驚いてこの話を作ったのかもしれません。また、これまで私も特にこの話を普通に読んでいました。しかし、このように考えてみると、ズレた視点で美醜を決めつけている奇妙な話、という側面もある事に気づかされました。

2004年12月21日 22:45