2009年08月09日

元祖の玉子焼き屋

 昨日出張し、そのまま自腹で神戸に泊まりました。主目的はプロ野球観戦で、副目的は久々の高校野球観戦なのですが、この暑い日差しのなか、朝から甲子園に行く気もおきません。そこでどこかに行こうかと考えているうちに、明石が思い浮かびました。
 実は、昨晩の夕食は、「明石焼き」を食べるつもりだったのですが、仕事が長引いて断念。結局、吉野屋で食べる羽目になりました。
 というわけで、朝食は「明石焼き」にしようと思ったのですが、ならば本場で、と思ったのです。あわせて、神戸-明石間の車窓に広がる瀬戸内海を久々に見たい、というのもありました。

 瀬戸内海を堪能したり、当時はなかった明石海峡大橋の大きさに驚いたりしているうちに、明石に着きました。しかし、まだ10時過ぎという事もあり、店はどこも開いていません。
 なお、明石市内では、「明石焼き」でなく「玉子焼き」と呼ばれている事が店頭に出ている表示から分かりました。
 ただ、10時半開店予定、という店もあったので、しばらく時間をつぶす事にしました。せっかくだから海を見ようとと思い、そちらの方に向けて歩きました。
 アーケード街を抜け、港が見えてきます。その時、交差点の向こう側に、のれんが出ているきむらやという店がありました。さらに、店の前にまで椅子が出ています。まだ朝だからそこには誰も座っていませんが、おそらく、食事時には店があふれるくらい客が来るのでしょう。
 これは歩いた甲斐があると思い、店に入りました。何度か取材を受けているようで、壁には雑誌の切り抜きも張られています。それによると、この店は、100年くらい前から屋台で営業を始め、1924年から店舗営業を始めたという、「玉子焼き」の元祖と言うべき店だという事が分かりました。
 そして、席に座ると、注文を取られる代わりに、「一人前でよろしいですか」と声をかけられました。おでんも売っているのですが、基本的に「玉子焼き一筋」なのでしょう。そのため、何を頼むかすら尋ねないわけです。
 そして、「玉子焼き」と「ダシ」が来たのですが、あわせて食べ方の説明がありました。ダシにつける他に、塩で食べるのもお勧めとの事でした。さらに、机の脇にあるソースについて、「これのほうがいい、という人もいるから置いています。よければどうぞ」との説明がありました。店としては「邪道」の食べ方ですが、「たこ焼きはソースでないと」という人の対策で仕方なく置いてある、という事なのでしょう。
 お勧め通り、ダシと塩の交互で食べたのですが、どちらも美味でした。また、作りもしっかりしていて、ダシに入れても、ほとんど崩れません。そこらへんの「明石焼き」だと、ダシに入れると、グズグズに崩れて、原型をとどめなくなったりするのですが、やはり元祖は違う、と思いました。気がついたら、20個を平らげていました。
 仮にもう少し遅く着いていたら、既に駅前の店が開いており、そちらに入っていたでしょう。したがって、この「元祖」にたどりつく事もなかったわけです。そういう点も含め、運が良かったと思いました。

2009年08月09日 01:54