2009年04月12日

珍事

 先週の話ですが、将棋の名人戦をやっている際に、老観戦記者が対局者にサインをねだり、それがテレビ中継で流れた、というニュースがありました。将棋のみならず、他のプロ競技でも「取材者がテレビカメラが動いている前で、試合を行なっている最中の選手にサインを求める」などという前例はないでしょう。まさしく前代未聞と言えます。
 今はプロ将棋にほとんど興味がなく、このニュースを見て「そうか、名人戦始まってたんだ」などと思ったくらいの私ですが、子供の頃から30代半ばまでは、プロ将棋が好きで、様々な情報をチェックしていました。
 したがって、今回の「事件」を起こした記者氏の文章を読んだことはあります。ただ、率直に言って感心した事はありません。それどころか、長年の経験を積んだとは思えない品のない文章に呆れた事もありました。

 特に記憶に残っているのは、16年ほど前に、ある重要対局でちょっとした特例措置が行なわれた時に、その措置を批判した時に使った「ビニ本」という言葉でした。前後の文章とあわせ、「これがベテラン有名記者の書くことか」と呆れたものでした。
 したがって、今回の件についても、その非常識ぶりには驚きましたが、どちらかと言えば「彼ならやりかねない」といった感想を持ちました。
 その動機は分かりませんが、少なくともこれで、後世における彼の評価が「名人戦の最中に対局者にサインを求めた奇行>それまで書いてきた観戦記・将棋などの活動」となってしまったのは確かでしょう。もっとも、それが本望でこの奇行に及んだ可能性も否定できませんが・・・。
 とりあえず、このように老いたくないな、と強く思わされた事件でした。

2009年04月12日 23:30