2009年01月07日

派遣切りと自己矛盾

 金融不況の影響ということで、自動車製造業を始め、派遣社員の解雇が広がり、社会問題になっています。寮を追い出された人の仮の宿である「派遣村」という言葉も大いに話題になりました。
 その一方で、坂本総務政務官のように、あたかも、自業自得であるような発言をする輩もいます。ネットなどを見ても、「派遣社員は切られて当たり前」みたいな、同様の意見を主張する人間が見られます。それらを見たり聞いたりすると、この寒空の中、寝る場所がないような人を中傷するなんて、どのような神経の持ち主なのだ、と呆れかつ寂しい気分になります。

 ところが、そんな事を家で思っている自分が会社に行くと、立場が一変(?)します。私の仕事は月初が多忙で、10人くらいの派遣の人に来てもらって凌いでいました。そして、それを終了させるためのシステム導入および、それに伴う派遣社員の経費節減を進めるのが、自分の仕事だったりします。
 私が関わっている人たちは、「この仕事がなくなったら、住むところもなくなる」という状況ではありません。また、削減はかなり前からの予定であり、今回の金融不況とも何ら関係はありません。とはいえ、段々と仕事が減っていく中、帰りがけに「ここに来るのも今日が最後かも・・・」などと言われると、胸に来るものがあります。
 いずれにせよ、自分が広い意味での「派遣切り」をやっている事に変わりはありません。にも関わらず、一方で派遣切りを肯定する人たちを批判的に思っているわけです。端から見ると、矛盾しているとも言えるでしょう。実際、自分でもそうやって考えていくと、頭が痛くなります。
 そう考えれば、坂本政務官や、ネット上で切られた人々を叩いているような人は、気が楽なんだろうな、などと思ったりもします。もちろん、だからと言って、彼らに同調しようとする気は、毛ほども生じませんが・・・。

2009年01月07日 23:57