2007年10月24日

時間の流れが違う店

 先輩に誘われて、とある食堂に入りました。日本橋の界隈で交差点に面し、地下鉄の出口から歩いて10秒という非常に恵まれた立地にある店です。
 何の気なしに入ったのですが、店を見て驚きました。テーブルも椅子も古びており、しかも椅子は不揃いです。そして、いずれも今ではあまり見なくなった、二昔前に作られたようなデザインでした。さらに店内をよく見たところ、奥の方には古びた扉があり、「社長室」という札がついていました。一方、壁際には二つの岡持を紐でつなげて作った「手動エレベーター」があり、それが二階にラーメンなどを運んでいましたた。

 壁に貼られたメニューの一番右にあった450円のラーメンを頼んだところ、これまた二昔前のような外見と味でした。たとえていうなら、チェーン店などのメニューにある「昔ながらの中華そば」を、さらにレトロにしたような感じです。
 懐かしさを覚えながら食べていたら、それを見抜いた先輩に「昔あった店にいったような感じだろ」と言われました。確かにその通りで、内装も味も、1980年代前半に戻ったような感じです。
 一時期「昭和三十年代を再現した飲食店街」などというのが流行っていました。しかし、それらにいくら当時の看板などを飾っても、それは「現代社会に人工的につくったもの」でしかありません。対して、この店はまったくもって普通に「1980年代を再現」していました。
 いつできた店だか分かりませんが、何十年もの間、この店の中では外とは違う時間の流れ方をしていたのだろうな、などと、少々感慨に浸ったりもできました。なかなか貴重な昼食時間を過ごすことができました。

2007年10月24日 00:31