2007年09月23日

蜘蛛の糸

 なんか知りませんが、ここ数日、虫が家の中に入ってきます。昨日は午後の間、ハエが室内を飛び回り、うっとうしくてなりませんでした。あまりのうるささに、網戸に張り付いたところを潰そうとしたら、勢い余って網戸を外してしまったほどでした。
 そして、今日はふと脇を見ると、蜘蛛が歩いていました。しかし、ジョロウグモみたいな巨大で不気味なものではなく、数センチの小蜘蛛です。それがノロノロと歩いていても、別にうっとうしくはありません。むしろ、安全に外に出してやりたい気分になり、何とか紙切れに乗せて、ベランダに出しました。

 その蜘蛛を見ていたら、ふと芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を思い出しました。話のきっかけは、極悪人のカンダカが、道ばたで見た蜘蛛を救った事から始まります。結論だけ言うと、彼は一瞬の希望を見ながらも、結果的に再び地獄に落とされるという、より悲惨な結果になりました。
 もしあの時、彼が見かけたのが蜘蛛でなく、ハエやゴキブリだったら、蜘蛛と同じようには扱わず、殺していたのでは、と思いました。そうすれば、結果的にはより深い絶望を味わわずにすんでいたでしょう。
 小説上の人物ながら、その不運さ(?)に同情したくなりました。あと、あの話ですが、冷静に考えて、彼でなくても、細い蜘蛛の糸に何十人もぶらさがっていれば、不安になって怒鳴りたくなるでしょう。あの話に出てくる「お釈迦様」はかなり性格が悪いな、と改めて思ったりもしました。

2007年09月23日 23:27