2007年03月26日

暴走者の視点

[ 野球 ]

 読売のオーナー氏が希望枠の議論だけが暴走し、違和感を感じるなどと発言したそうです。「ドラフトと関係なく、有望選手が球団を選べるような制度があると、その有望選手を囲い込むためにおおっぴらにできない大金が動く。それを防ぐために問題のある制度をやめる」という至極当然の主張のどこが「暴走」なのでしょうか。
 常人には理解できない論法ですが、せっかくなので、氏の立場にたって考えようとしてみました。すると、一つ面白い仮説が導かれました。

 アマ球界・選手会・ファンはのみならず、経営者側の多数ですら、希望枠撤廃の方向で動いているなか、ただ読売およびその命令に従っている「コミッショナー代行」だけが、誰も説得できない「論法」を用いています。大仰な事を言っていますが、所詮は「自球団に有力アマか他球団の有力選手のせめてどちらか一つだけは金づくで獲れる制度を維持したい」というだけの話です。その頭の中には、球界全体の繁栄も、才能ある中高生を育てるという考えも、ファンがどう思うかという認識も感じられません。それこそ暴走しているわけです。
 自分たちが暴走しているにも関わらず、それが暴走という認識がないわけです。なるほど、それならごく自然の動きである「希望枠即撤廃」が「暴走」に見えるのでしょう。夜に騒音をまき散らして道路を走る集団が、自分たちの行動を批判する人に怒るのと似ています。
 そういう意味で、大変印象に残ったオーナー氏の発言でした。ぜひともこれからも、「読売だけの論理」を元に、妄言・珍言を披露していただきたいものです。

2007年03月26日 23:39