2005年12月14日

謎の高校紹介記事

 日経新聞が一面などで「人口減と生きる」という記事を連載しています。少子化対策なら、労働者の所得・労働時間などにおいて、子供を生み育てにくい現在の社会体制の是正が最も有効なのでは、と私は思います。もちろん、経済新聞としては、そのような大企業の利益向上に相反する主張をする事はありません。というわけで、「若者の給料が親世代の年金より安い。だから格差の是正のため、年金の支給額を減らせ」などといった、何ら若者にとって実益のない「少子化対策案」が書かれたりします。
 それはそれで問題なのですが、今日の「第2部最終回」は別の意味で問題がありました。そこでは、1960年代くらいまで、東大進学者数第一位の実績がありながら、その後の制度改革などのために平凡な学力になってしまった都立高校を取り上げています。そして、(かつての名門校の卒業生の話には)若者一人ひとりが持つ力を高めて、生きる力を身に付けるヒントがあると思ったなどという、根拠のまるでない理論(?)をもとに、その高校の卒業生の談話を集めています。平凡な学力になった後に入学したとはいえ、私も一応そこの卒業生なので、「人口減対策と何の関係もないだろうに」と思いつつ「先輩たち」の談話を読みました。

 予想通り、談話は社会的成功者(中には政治資金流用疑惑で議員辞職した経験のある政治業者などもいましたが)がエリート高校生だった時代を振り返っているだけ。なんか、たまに新聞に載る「母校紹介広告」みたいです。もちろんこれでは「人口減対策」などにはなりません。さらに紙面が埋まらないのか、私の一つ上の学年という、平凡になった時代の卒業生までかりだして「ホームルームはないし、遠足の場所もクラスごとに決めていた」などという、単なる学校の風習の紹介までしていました。
 担当者がOBで急に母校紹介欲にかられたのでしょうか、それとも単にネタに詰まったのでしょうか。そのくらいしかこの記事の誕生理由が思いつきません。それほどまでに唐突で、かつこれまでの連載との整合性もない「第2部最終話」でした。
 個人的には、高校時代の色々な風習を思い出せたという点についてのみ楽しめました。とはいえ、卒業生以外には全然意味がなかったのではないでしょうか。

2005年12月14日 23:31