2005年12月01日

本は見た目が九割?

 本屋に行ったら、目立つところに「人は見た目が九割」という題名の本が平積みになっていました。この題名を見た時、あることを期待して立ち読みを始めました。冒頭に「私は漫画原作者をやっているが、漫画家によって人気が出たり出なかったりする」などという当たり前の事が書かれていたあと、「見た目コミュニケーション(?)」みたいな本論に入りました。「商談は第一印象が大切。最初の名刺を交換した時点で決まるものらしい」などといった説が書かれています。
 それに続き、最初に期待したメラビアンの法則が出てきました。どうやらそこにある「話し手が聞き手に与える影響がどのような要素で形成されるかを測定したところ、見た目・身だしなみ・しぐさ・表情などが55% 声の質(高低)・大きさ・テンポなどが38% 話す言葉の内容が7%」を元に、この本の表題は決められたようです。とりあえず、当初の目的は達せられたので、最後までパラパラとめくって、立ち読みを終えました。

 別に私は「メラビアンの法則」について上記サイト以外での知識はありません。したがって「この本が『メラビアンの法則』なる都市伝説を元に書かれている」と断言できる自信もありません。
 しかしながら、「自ら言葉の内容は7%」と書きながら、この本は表紙を除けばほとんど活字、というのは自己矛盾なのでは、と思いました。この理論(?)に基づくと、この本が伝達しようとする情報の9割以上はその表紙にあり、本文の価値は1割もない、という事になります(38%を占めるとされる「声の質」を本においてどう位置付けるかは難しいのですが、ここでは、本の表題にならいました)。
 もっとも、実際問題として、表紙を見た私は「もしやメラビアンの法則?」と思って手にとり、本文を数頁めくってそれを確認して評価を決めたわけです。そう考えると、確かにこの本の情報伝達の9割は表紙ですんでいたとなり、著者の理論(?)は正しくなってしまうのですが・・・(苦笑)。
 なお、個人的経験を付加させてもらいますと、仕事においても生活においても、「最初の一目でもった印象で全てが決まった」という事はごく稀にしかありません。したがって、「名刺を交換した時点で決まる」というのは、眉唾だと思いました。

2005年12月01日 23:09