2005年11月12日

辛勝ながら3連勝

[ 野球 ]

 アジアシリーズ第3戦は対中国選抜チーム。この大会は、各国の優勝チームで争うのが基本ですが、中国はまだプロ野球誕生から日が浅いという事もあり、選抜チームとなりました。この試合を見に、昨日に続いて東京ドームに行きました。
 既に明日の決勝進出を決めているマリーンズは、野手陣を大幅に入れ換え、若手主体で臨みました。10人中6人までがファーム日本一決定戦に出場した選手でした。それにフランコ選手とベニー選手の両レギュラーに、今季「一軍半」だった井上選手を加えた布陣です。
 先発は黒木投手と張力投手。土曜日のデーゲームに加え、黒木投手が先発という事もあり、「消化試合」であるにも関わらず、外野席は左右とも白一色で満席。一塁側内野席も九割くらいの入りでした。
 ところが、その黒木投手はいきなり先頭の侯鳳連選手にいきなり中前にきれいに弾き返されてしまいます。そして内野ゴロの間に二進され、さらに二死となったところで侯選手が何と意表の三盗。これに驚いたのか、辻捕手の送球がそれ、俊足の候選手は一気に本塁をかけぬけ、先制を許しました。マリーンズが先制をされるのは、プレーオフ最終戦以来、6試合ぶりの事です。
 その裏、マリーンズは先頭の早坂選手のセーフティーバントが正面に行ったものの失策となって出塁。盗塁と内野ゴロで2死3塁からベニー選手が歩きますが、続く大松選手が倒れ、このアジアシリーズで初めて、初回に得点できませんでした。

 その後も黒木投手は調子が出ず、二回も連打で無死1・3塁とされます。しかし、続く下位打線相手には貫禄を見せ、7・8番を連続三振に打ち取り、続く9番打者にも当たりは良かったものの、中飛に打ち取りました。
 続く3回も、先頭の候選手にストレートの四球を出し、続く劉広標選手には日本シリーズ第1戦の西岡選手ばりのプッシュバントを決められ、無死1・2塁とされます。そして三番の楊国剛選手の打球は黒木選手の足を直撃します。しかしこれが何とこの足に当たった打球がダイレクトで二塁手の正面に上がり、そのまま一塁に送球して併殺。この時点で既に候選手は三塁に到達しています。ともにダイレクトかバウンドかはっきり分からず、一瞬動きが止まりましたが、一瞬の間を置いてフランコ選手が二塁に送球し、これで三重殺が完成。生で三重殺を見るのは、子供の頃や就職してしばらくの間やった草野球を含め、初めての経験でした。しかし、その打球の影響で、黒木投手はこの回で急遽降板となってしまいました。
 一方、マリーンズ打線は、2回に四球のあと、フライがドームの屋根に紛れての失策で1死1・2塁としますが得点できず。3回はフランコ選手・ベニー選手とも打ち取られ、三者凡退。4回に先頭の大松選手がボテボテの内野安打でやっと「チーム初安打」となったものの、後続が絶たれ、4回まで1安打無得点と張力投手に抑えられます。
 一方、黒木投手の降板を受けての二番手は小宮山投手。90年代のエース二人の継投となりました。この小宮山投手が、ベテランらしい計算された投球で中国打線を手玉に取ります。4回は四番からの打順でしたが、相手の打つ気をうまく誘い、早打ちをさせて6人連続で内野ゴロに打ち取ります。
 その裏、マリーンズは先頭の渡辺正人選手が四球を選び、続く早坂選手がこの試合初のクリーンヒットを右前に運びます。塀内選手は一塁ライナーに倒れますが、フランコ選手が四球を選んで満塁に。ここで昨日2本塁打4打点のベニー選手が右中間を抜き、これが走者一掃の3点適時二塁打となり、一気に逆転をしました。一塁走者のフランコ選手は、前の早坂選手に追いつきそうな勢いでの激走でした。
 小宮山投手は6回には先頭の候選手に安打を許しますが、続く打者を計ったように遊ゴロ併殺。さらに二塁打をされますが、続く四番を再び内野ゴロに抑えます。7回も先頭打者のバントを自らの失策で生かしてしまいますが、1死後に併殺を打たせ、8回にも安打をされたものの、後は抑えます。5回を投げ切っての球数は何と45球。1イニング平均9球という技巧派投球で「150試合目」で今年の「初勝利」を挙げました。
 一方、中国チームはベニー選手の適時打で張力投手が降板した後、左の横手投げの趙全勝投手が登板。ワンポイントかと思ったのですが、左打者相手はもちろん、右打者相手にもうまく内角を攻め、5回途中から9回までを辻選手の1安打のみに抑えます。ファーム日本一+フランコ選手・ベニー選手という打線相手にこの好投には驚かされました。
 9回はセーブがつく場面という事もあり、小林雅英投手が登板。2番目の打者の打球が足を直撃しますが、リプレイを見たら「足技」でスパイクの踵に当てただけでした。結局その強襲安打のみに抑え、アジアシリーズ初セーブを挙げています。観客数は2万6千5百人ほどでした。
 この試合を見た限りで言えば、中国選抜チームは現時点でも日本の二軍ではかなり戦えるのかも知れません。とくに本日2安打で、三盗もした一番の候選手と、二番手投手の趙投手は印象に残りました。北京五輪の頃にはどのくらい強くなっているのでしょうか、楽しみであり脅威でもあります。
 なお、試合終了後は31年前のオリオンズ優勝メンバーの一人でもある中国選抜のラフィーバー監督に対し、外野席から「ジム」コールが起きていました。

 夜に行われた韓国のサムスンライオンズ対興農ブルズは、1回裏、いきなりブルズ先頭のマルティネス投手が四死球三つで満塁とし、4番打者の右邪飛が犠飛となり、あっさりライオンズが先制。しかも、内野返球を受けた遊撃手が失策し、2点目が入ります。さらに続く5番打者も犠飛を打ち上げ、なんと無安打でライオンズが3点を先制します。
 さらに2回にも四球走で者を出し、1番打者の遊撃への「初安打」をまたも遊撃手が悪送球で4点目が入ります。
 しかし、ブルズがマルティネス投手を3回途中であっさり諦めると、続くコルテス投手が好投し、ライオンズ打線を抑えます。
 一方、4回までライオンズ先発のハリカラ投手に1失策のみの無安打無四球に抑えられていたブルズ打線ですが、5回に先頭の5番打者が初安打し、1死後振り逃げで1・3塁とした後、8番打者の一塁強襲安打で1点をまず返し、その後四球で2死満塁とし、2番打者が中前に落ちる2点適時打を放って1点差に迫ります。
 しかし6回から、ライオンズは自慢の継投陣を投入。何でも、7回に三番手で登板して三者凡退に抑えたペ=ヨンス(裵英洙)投手は本来は先発の軸ながら、明日に備えての調整登板だったそうです。そして9回は韓国シリーズMVPの新人・オ=スンファン(呉昇桓)投手が三人で抑え、4対3の接戦を制しました。
 これで明日の決勝はマリーンズとサムスンライオンズで行われる事になりました。

2005年11月12日 23:04