2005年11月07日

中枢中の中枢で

[ 交通 ]

 日本を代表する通勤路線である山手線が、これまた日本を代表する駅である東京駅近辺で、「架線を張るための重りをつり下げる鉄製の棒の切断」のために、5時間ほど運転を見合わせました。しかも、発見したのは業務による点検でなく、通勤していた関係者がたまたま気づいたとのこと。ちなみに、この点検は年に1回で前回は今年の1月以来、チェックはなかった、との事です。
 私は鉄道工学の知識はないので、このような不具合がどのくらいの確率で起き得るとか、どのくらいの頻度で定期点検をすべきか、などという事は分かりません。しかしながら、突発的な事故でもないのに、山手線が5時間も止まったわけです。保守点検に不備があったと言わざるをえないでしょう。
 半年ほど前に、大阪のほうで大惨事が起きました。しかし、その際、最大の問題点として報じられたのは、死亡した運転士のミスの頻度と、その日にJR社員が行った宴会でした。そして、同様の事件は国鉄時代には起きなかったにも関わらず、「民営化によって生じたJRの安全軽視の体質」にはほとんど触れられなかったのです。20年前ならばこのような事故が頻発すれば「国鉄の親方日の丸によるたるみ体質によるものだ」とマスコミに袋叩きにされていたでしょう。
 報道する企業にも「会社」としての事情があるゆえの事なのでしょう。そしてそれによってJRも大して意識せずに相変わらず保守点検における「経費削減」を続けるのでしょう。こう考えると、首都圏のJRでも、半年前の大阪みたいな惨事が起きてもおかしくないのでは、と思えてきます。

2005年11月07日 23:59