2004年12月06日

スポーツ新聞的報道の価値

[ 野球 ]

 タイガースの金本選手が、いくつかの新聞社の取材に応じて、後輩を激励する談話を残しました。書き方によっては誤解を招きかねない内容です。その事もあり、金本選手の公式サイトには記者には何回も確認して、批判じゃないよ、激励、応援だから間違った書き方しないようにと繰り返したと書いてあります。
 にもかかわらず、これを記事にしたデイリーの見出しは金本 ゴネる若虎に激怒した、日刊スポーツは金本兄貴「秀太斬り!」怒りのカ~ツ、サンスポはプレーでもの言え!金本が“窓際戦士”へ激辛メッセージというもの。日刊とサンスポは文末に金本選手が念押しした「批判じゃないよ、激励」を記載してはいますが、デイリーに至ってはそれすらありません。また、日刊もサンスポも結果的には「批判」と解釈せざるをえない記事構成になっています。

 三紙の内容を見比べると金本選手の「発言内容」自体はだいたい同じです。したがって、そこには「捏造」はないのかもしれません。となると、問題は発言に対する「記者の解釈」の部分なのでしょう。いずれの記者も「批判である」という前提のもとに解釈しています。
 「激励」についての一言を載せた日刊・サンスポを見ても、「なんか後で『激励』だと何度も言っていたから、文末に一言つけてやるか」という感じです。
 残念ながら、本人がわざわざ念押ししたにも関わらず、いずれの社の記者にも、金本選手の意図するところを解釈する能力が欠けていたとしか言わざるをえません。

 これを機に、金本選手はマスコミの取材に応じない事を決意したそうです。まあ、何か主張したい事があれば、本人の公式サイトを読めばいいわけですから、ファンには別に困りはしません。スポーツ紙は困るかもしれませんが、身から出た錆なのですから仕方ないでしょう。いずれにせよ、スポーツ新聞的な「報道」の存在意義が問われる事になりそうな「金本選手の激怒」でした。

2004年12月06日 22:47