2007年03月13日

読売球団ならではの「論理」

[ 野球 ]

 西武球団の裏金発覚に関連して、現行のドラフト制度に問題がある、という見解が、現場も含め、各所から上がっています。それに対し、案の定、読売球団の首脳から、現行制度維持を目指した談話が出ていました。
 その中で、一番呆れたのは、毎度の事ながら、会長氏の発言です。何でも「非常に残念というか、腹が立つ。オレが腹を切ってよくなると思っていたが、そうならなかった」だの「こういうことが起きたからといって、協約やその他のシステムを変えようとするのは反対。集団ヒステリーはよくない」だのと語ったそうです。
 その後、球団社長が希望枠撤廃みたいな発言をしてはいますが、一連の制度を作っただけあって上記の発言が「企業の本音」かと思われます。

 それにしても。「今回の件が発覚したから制度を変えようとするのはおかしい」という論法は、子供だましにすらなりません。今まで、選手会をはじめ、多くの関係者・ファンが、現在の「希望枠」に反対し続けていました。それに対する、読売球団をはじめとする存続側の主張は「特に問題がなかった」からだったわけです。
 つまり、今回の件は、「希望枠」反対論者たちにとっては「当然の帰結」でしかありません。それをあたかも「この件があったから、廃止を主張している」などと言うのは、あまりにも質の低い「すりかえ」です。
 ところで、もう一つの「オレが腹を切って・・・」発言については、最初は全くもって何が言いたいのかわかりませんでした。しかし、落ち着いて考えてみたら、一つの仮説が思い浮かびました。
 それは、会長氏が腹を立てているのは、「裏金問題が存在した事」でなく「発覚した事」なのではなかろうか、という事です。まあ、せっかく、「アンケート結果」まで作り上げて維持しようとした「希望枠制度」がこんな形で終わってしまっては確かに腹が立つでしょう。つまり、「もっと上手に隠蔽しろ」と怒っていたのだろう、と解釈しました。
 あと、他の読売球団首脳から「希望枠がないと選手のメジャー流出が進む」などという発言がありましたが、これも意味不明です。現行の希望枠制度には「希望枠で入団した選手はメジャーに移籍してはいけない」などという規定はないはずです。にも関わらず、それが「希望枠存続」の論拠になる、というのなら、ぜひともその因果関係を説明してもらいたいものです。だいたい、自球団ではアジア各国から選手をかき集めているのに、自国の選手がメジャーに行くのは防がねばならない、というのも意味不明です。
 別に有能な日本人選手がメジャーで活躍するのは、何ら悪いことでないと思います。ましてや、それと「希望枠存続」とどちらがいいか、と問われて「ならば希望枠存続」と主張するファンはほとんどいないのではないのでしょうか。
 今回の件で、次回ドラフトでのライオンズの指名権を一部剥奪、という話があるそうです。ならば、問題のある制度を作った元凶かつ違反の「前科者」であり、代表者が「オレが腹を切って」などと言いながら、肩書きだけ代えて相変らず同じ事を言うような企業には、「ドラフト制度協議への参加権の剥奪」をしてもいいのでは、と思いました。

2007年03月13日 23:36