2009年08月19日

ビジネス書の検証

 書店のビジネス書欄に行くと、成功した経営者や企業を題材にした「なぜ儲かったか」という記事が多数見られます。
 しかしながら、結果的に成功すれば、どのような行動だって「成功の原因」になります。言い換えれば、それと同じ事をすれば成功できるかどうかを立証することはできません。
 したがって、そこに書かれている事が、本当に成功へ結びつくのかどうかなど、分かりません。

 たとえば、トヨタなどは、常に褒め称えられ、やることなすこと全てを「理想的な経営手法」と書いた本が何百冊と出ていました。
 それが現在では赤字に転落し、その中で経営陣の高給を維持するために「派遣切り」などという従業員をモノ扱いする事を行なったわけです。さらに、製品には大量にリコールが出て、社内では過労死者も少なからず出しています。
 さらに、「優れた企業体質」の象徴だった「QC活動」なるものは、単なるタダ働きの強制だった事も明らかになってきました。
 この現状を考えれば、かつて千何百円払ってトヨタ礼賛書籍を買って熟読した人は、カネと時間を無駄にしたと言えなくもありません。
 そうやって考えてみると、ビジネス書の場合、後の検証がかなり重要なのでは、と思えてきます。もちろん、失敗を取り扱ったり、失敗体験者が書いたビジネス書もありますが、それはそれで結果論になってしまいます。
 そこで思いついたのが、凋落した人が成功していた頃に出版されたビジネス書への「ツッコミ」です。当時書かれた褒め言葉と落ちぶれた後の状況を比較すれば、そこに書かれていた事が「一時的な効果しかなく、後で反動がくる方法」だったとか、「元々、たいして効果がないが、成功したためにその要因のように見えた」という事が確認できます。
 そのような検証を行なった本こそが、実際のビジネスに役立つのでは、と思いました。まあ、そんな本を出したら、現在出ている「成功者礼賛ビジネス書」の売上げに悪影響を及ぼす可能性があるので、出版される事はないとは思いますが・・・。

2009年08月19日 00:47