ながい閣下作品短評(2003年から2004年前半)

2004/6/16(水) ファンロード7月号の随筆「万物斉同・5」

 ページ上半分の絵で、編集スタッフ達との食事会の模様(?)が描かれています。そこで長井氏のセリフは「掲載誌が決まらない」というもの。ヤングサンデーの第2弾の話が難しくなったのでしょうか。ちょっと心配です。
 本文のほうは、また「ネタ出しネタ」から始まります。ネタを持ってくるまではやけに「橋本君」を持ち上げますが、いざ「行列のできるラーメン屋を斬る」などといった陳腐なものを持ってきた瞬間、「ドアホが自分のやりたいだけの事を言ってきた」とこき下ろしました。ネタそのものがつまらないのはもちろんですが、長井氏は行列に並ぶ事自体が嫌い、というのも断った理由の一つでした。そこで「行列のちょっとできるラーメン屋をぶった斬り。ついでに焼く」という「対案」を出しています。
 とはいえ、「彼」の好きな「特殊な嗜好の紳士向けゲーム」を、自分がやってもいないのに誉めるなど、気遣いは見せていました。長井氏にとって「彼」は通常型のザクに次ぐ存在で、高機動型ザクを上回る位置付けだそうです。
 なお、次に「彼」が持ってきたネタは「テニスの王子様」。これは「テニスの王子様の全て=『男』『テニス』『学生』『帽子』」の一言で片付けます。これが的確かどうかは、読んだ事がないので分かりませんが。

2004/5/15(土) ファンロード6月号の随筆「万物斉同・4」

 今月は花見に行った話なのですが・・・。
 残念ながら、面白いところはどこもありませんでした。前半は、花見で隅っこに追いやられ、他の「隅っこ組」と愚痴るという話。後半は原稿のネタがなく、「橋本君」とメールをやりとりするが、ロクなネタが出ない、という話。
 もともと「やる気のなさ」が主題(?)の読み物だという事は承知はしています。しかし、そのダラダラとした文の中に、一行でも作者ならではのギャグセンスの光る文章があれば十分なのですが。今回はそれがありませんでした。

2004/4/15(木) ファンロード5月号の随筆「万物斉同・3」

 今回は、先々月に続き、原稿の中継役で友人(?)の「橋本君」(以下「彼」)ネタ。いまだに良く分からないのですが、編集部員の一人なのでしょうか。その「彼」の面白みがない発言をもとにいかに面白い原稿を作るかという苦心の跡(?)を感じさせられました。
 メールを交換しながらネタ出しをしようとしますが、なかなか出てきません。そのうち、「彼」から「文鳥ごっこ」なる言葉が出てきました。しかし、具体的に尋ねてみると、「文鳥のマネをして人の鼻汁をすする」などとわけのわからない事しかいいません。そのメールを見た長井氏は、


「バカの言う事は謎だしどうでもいいが、橋本君の心からの意見として尊重したい」

という、きつすぎる突っ込みを入れます。このへんの言語センスは、相変わらず凄いものがあります。あと、この文章、仕事中のストレス解消にも有効でしょうね。筆者も、今日は二件ほど「謎だしどうでもいいこと」を言ったり書いてきたりする輩を不快に思う機会がありました。おかげでそれも、「彼らの心からの意見として尊重したい」と認識できるようになりました。
 以下もその「謎だしどうでもいいこと」の対処が続き、結局「文鳥ごっこ」のオチは「『ランプ亭』で牛丼を食べる」事になりました。あまりにも冴えません。
 ネタが冴えないせいか、ページ上段の絵も、「メールをやりとりしている」「牛丼を食べている」というギャグでも何でもないものでした。ただ、今回は久々に長井氏らしい、きつくかつ、かなり笑える一文が読めたので読後感はかなりいいものがありました。

2004/3/23(火) 単行本「チャッピーと愉快な下僕ども・大増補版」

 1988年に刊行された単行本に、その前後に発表された作品および、「神聖モテモテ王国」連載直前に描かれた「サンデー廃物利用三部作」を加えた「大増補版」が発売されました。発行にあたって手を加えられたのは、

  1. トビラに描かれた「ビッグボディ」
  2. 連合艦隊金剛・自主規制の星で伏字の上に貼られた「シール」が外れた事
  3. カバー折り返しの解説文の変更
くらいです。あとは当時のものをそのまま載せていました。
 せめて、「チャッピーの火のないところに放火する」が「続かない」ことくらいは、注釈を入れても良かったようにも思えます。あと、カバー折り返しに「神聖モテモテ王国」のルーツ、と書くのですから、スケベスト=オンナスキーシリーズは収録すべきだったとも思いました。それとも、この原稿が紛失してしまったのでしょうか。
 それにしても、ファンロード時代の作品と「サンデー没ネタ」を読み比べると、「サンデーデビュー」の時期に、「ウケるキャラクター」作りを編集に命じられて苦心していたか、というのが伝わってきます。今更こんな事を書くのもなんですが、当時の編集者が、ながい閣下はそのような「ギャグ漫画の型」にはまる程度の人ではない事に気づかなかった事が惜しまれてなりません。
 とにもかくにも、「幻の作品集」が再刊行されたのは嬉しい限りです。次はぜひ小学館さんにも、同様の「幻の作品集」を発行してほしいものですが・・・。

2004/3/15(月) ファンロード4月号の随筆「万物斉同・2」

 ページの半分を占める絵は、著者・FRの編集長と、男が2人います。一人は目まで隠れる帽子に髭で近くに縄梯子がある。もう一人はやや長髪で刀を持っており、近くの壁が丸くくり抜かれています。いずれも「ラスカル軍団」風の絵です。
 文章はFRの編集長に前回の原稿を渡す話です。予想通り、原稿の内容に編集長氏は困惑しています。せめて、プラモデルを完成させてはどうか、と提案しますが、当然ながら長井氏にやる気はありません。まあ、プラモデル作成記録だろうと、原稿渡し記録だろうと、文章が面白ければ、読むほうとしてはそれで十分なので、別に無理にプラモデルを作らなくてもいいと思いますが。
 続いて、3月23日発売の単行本「チャッピーと愉快な下僕ども」の表紙についての話です。こちらの締切日でもあったようですが、その時、カバンに入っていたのは「赤マジックで8秒で描いたラスカル」。当然没を食らいます。しかし、最近のギャグ漫画の単行本の表紙なんかを見ると、それもアリなのでは、とも思えます。むしろ、書店で平積みになった時は目立つのではないでしょうか。
 ちなみに、今月号の閉じこみ付録には「メルヘンversionコミックスカバー」があるのですが、そちらは3D風にCG化されたラスカルが表紙で、裏表紙はそのラスカルが楽譜になっている、というものでした。なんか、「巨大掲示板のキャラのぬいぐるみ」みたいな感じでした。線を主体にした「1.5次元」とも言える「ラスカル軍団」を3次元化するのは、やや無理があるような気もします。
 なお、実際に出る単行本の表紙は1988年に出た単行本のままの原稿を使うようです。

 いずれにせよ、これらの「やる気のない原稿」で編集長氏に責められる長井氏。心の中で、縄梯子で下りてくる次元大介や、壁をくりぬいてやってくる石川五右衛門に助けを求めますが、もちろん、彼らは助けてくれませんでした。
 最後のオチは、「単行本に再録する原稿をなくした」というもの。長井氏は「しかし、昔の原稿など恥ずかしくて」みたいな感じで、なければないで収録されずにすんでいい、という感覚のようです。
 確かに氏の感覚ではそうなのでしょうが。一般ファンにとっては、何十年も先を行っていたギャグは今読んでも面白いと思うのですが。ちなみに筆者は、1983年に発表された投稿作品「ドラネコくわえたサザエさん」という2コマ漫画で、イってしまったサザエさんの表情と、彼女にくわえられて困惑したような表情をしているタマがいまだに脳裏に焼きついており、今でもつい、上記の歌詞を口ずさんだりしてしまいます。

2004/2/15(日) ファンロード3月号の随筆「万物斉同・1」

 漫画の掲載はなく、1頁の随筆が新連載となっていました。まあ、前号の再録を見た時に、漫画の連載はなさそうだと思っていましたので、特に失望などはありません。むしろ、随筆の掲載があっただけ良かったとまで思いました。ちなみに、名義は「長井建」になっています。
 随筆の内容は、FRの漫画家で、たまに飲む仲の「橋本君」(以下「彼」と表記)という人の家に行った話でした。上半分は、「ラスカル軍団風」の絵で、「彼」の部屋の模様が描かれています。あやしげなDVDやエロゲーがあるのですが、「彼」のキャラクターにはあわないらしく、本人は隠したがっている、とのことです。最近のFRの事は全然わかりませんが、別にこの雑誌で連載している男性作家なら、そんなもん持っていても普通だと思うのですが、どういう「キャラ」なのでしょうか。まあ、どうでもいい事ですが。
 本文のほうは、その「彼」がガンプラを作り、その後二人で格ゲーをやったこと、帰宅時に思った事について述べています。
 プラモデルは「彼」が「キュベレイ」という「Zガンダム」に出てくる機種を作ろうとするのですが、それに対し長井氏は「そんなの作らないでゾックを作れ、あれはボラスキニフの魂が具現化したものだ」と突っ込みます。さらに「彼」が「でも、キュベレイは虫みたいで好きだし」みたいな反論を試みるのですが、「ならば虫を作れ」と容赦なく畳み込みます。
 それにしても、どのへんが「魂の具現化」なのでしょうか。以前、安永航一郎先生が「ゾックにガルマの魂が組み込まれた」というパロディを描いた事がありました。あのモビルスーツには、「魂」を感じさせる何かがあるのでしょうか。
 その後ゲームをして帰宅をするわけですが、帰路にいろいろ考えた事が書かれています。「自分のためでないクリスマスソングが流れていたので、音符をバラして撒いた」などという表現は、相変わらずの言語感覚だと思いました。あと、電車の中で、「自分はこれまで止まっていたけれど、少し新たな何かをやろうと思った」と考えてくれた、というのはファンにとって嬉しい限りです。それが漫画なのか他の表現なのかわかりませんが、ぜひ具現化して欲しいものです。
 まとまった文章を読んだのは「チャッピーと愉快な下僕ども」の後書き以来でしたが、短い分量とはいえ、かなり楽しく読めました。なお、3月23日にその「チャッピーと愉快な下僕ども」の増補改訂版が発売される、という告知もありました。

2004/2/5(木) モテモテ王国YS「第5話 個性が大切だとかそういうの」

 とりあえず予定通りの「短期集中連載最終回」です。内容のほうは、いつも通りの普通の話でしたが。
 表題の通りネタは「個性」ですが、「作戦」を言ったとたん、オンナスキーがキレて「これ以上何かしたらたたき出す」と言います。結局、今回のシリーズではオンナスキーは「とにかくファーザーに冷たく突っ込む」キャラとなっていました。対して「個性を尊重しない者は破綻思想の持ち主とされる風潮があり、これは全体の総意なんじゃよー。君は正しい思想教育が必要じゃなー」と、いきなりパラドックスなギャグが出ます。あと、最後のあたりは月曜日に高校生の反戦署名に言いがかりをつけた首相みたいな言い回しになっています。原稿は首相の発言より先に完成していますから、偶然なのですが。
 とりあえず、個性を主張する方法を考えるファーザー。結局「個性なんてもんは簡単なんじゃよ。要するに他人と違っていればいいんじゃろ?」と結論付け、オンナスキーに「それは根本的に何か違うと思う」と突っ込まれます。
 そして結局、「個性」を具現化したキャラクターは、金髪でオカッパ(?)のカツラをかぶり、両耳に音叉みたいなものをつけ、胸に「異常」背中に「自尊心」と書いた「天野ジャッカル」となりました。しゃべりは「不思議ちゃん」を意識したような感じです。
 ただでさえ異常なファーザーがさらにこのような「個性」を出すのですから、ナンパどころではありません。女性は後姿を見ただけで逃げ出し、女性に助けを求められた警官に「天野ジャッカル」は捕まります。「個性の主張」で抗弁しようとするファーザーに、警官は「お前、そんなのは人間の範囲内でやれ」と冷たく突き放して終わります。
 読んでいて、「確かに普通のように『個性』という言葉を使っているけれど、ではいったい『個性』とは何かと言われると難しい」などと真面目に考え込んでしまいました。特にそれを描いているのが、常人の範疇を超えたギャグセンスを発揮しているながい閣下なだけに、なおさら考えさせられました。

 というわけで、「短期集中連載」は終了しました。なんか普通にこれまでの「モテモテ王国」から続いて、そのまま5話描いた、という感じでした。できれば、少年サンデー連載時から「レプリカ」などの伏線の謎を解明してほしいと思っているのですが、それはかなわぬ事なのでしょうか。いずれにせよ、再登場を期待するよりありません。

2004/1/29(木) モテモテ王国YS「第4話 ハードボイルド作戦」

 表紙に題名が載らず、掲載位置も真ん中よりちょっと後ろくらいでした。YSにおいて掲載位置と人気に関係があるかは知りませんが・・・。いずれにせよ「集中連載」は今回を含めてあと2回ですが。
 ネタは「ハードボイルド」で、探偵物語ネタのようです(「探偵物語」を知らないのでよくわかりませんが)。女の子に声をかけ、しつこく追ったら、通りすがりの極道さんにでくわすという、「基本パターン」の話でした。オチも松田勇作さんの作品のパロディのような感じですが、元ネタを知らないので、よく解りませんでした。
 ギャグとしては、「巨悪を眠らせないために起こせ」と「福本伸行ネタ」くらいでしょうか。例の「ざわ・・・」が「ぎゃわ・・・」となっていたのが印象に残りました。
 あと、トビラの下には(新愛称未定)などと書かれていました。担当さんは、よほどかつての「キムタク」とやらに思い入れがあったようです。センスはない上に方向性も変だとは思いますが、そこまで思い入れをもっていただけるのは有り難い事です。それもYS登場の遠因になったのでしょうから・・・。
 ただ、個人的には、ながい閣下の作品は登場人物だの主題だの世界観などはあくまでも「ギャグ」に付随するものであり、愛称はおろか、題名ですらこだわる必要はないと思うのですが。
 あと、全くもってどうでもいい事ですが、巻末のグラビアに載っているアイドルの生年月日が1984年の4月でした。これはちょうど自分が初めてのながい作品である「ムウミン谷の攻防」を読んだ頃(※)だったので、ちょっとした感慨みたいなものがありました。

※実際に掲載号が発売されたのは1984年2月ですが、自分が借りて読んだのは4月頃でした。
2004/1/22(木) モテモテ王国YS「第3話 テーマパークでもてる(後編)」

 トビラの上には「青年誌界最速大反響」、あおり文には「絶賛の声・・・やまず・・・!!(切ないほどに)と書いてあります。表紙にも題名が載り(ちなみに掲載されている22作品中、表紙に題名が載るのは6作品)、掲載位置も巻頭から三番目。前のページには、小学館漫画賞を受賞したばかりの、「Dr.コトー」が載っていました。かなりアンケートの調子がいいのでしょう。まあ、他の漫画家のファンと違い、ながい閣下のファンは「これでまた何かあると、次いつ読めるかわからない」という心境ですから、必死にアンケートを出しているのでしょう。かくいう私もその中の一人ですが・・・。もちろん、既存の読者からの支持も高いのでしょうが。

 さて本文。前回、のぞき穴のないぬいぐるみを着たファーザー。何も見えないまま公道を走り、トラックに轢かれました。YSでは登場3回目にして初の重傷です。血だらけになりながらも立ち上がり、ヨロヨロと歩き出すファーザー。そこに女子高生の二人連れが通りかかります。女子高生に反応した(?)ファーザーが鼻のスイッチを押すと、録音していたメッセージが始まりました。自己紹介(?)の後、「これを聞いているという事は、きっとわしは死んでいるんじゃろう」と流れます。よく、自分の死を予期した科学者なんかが、後から来る人への伝言を吹き込んだテープを残す、というSFの定番があります。しかし、そのテープを流しながら動き回ったのはファーザーが初めてでしょう。
 そんなのが血を流しながら追って来るのですから、当然女子高生は逃げます。それを追いながらまたまたトラックに撥ねられるファーザー。本日二度目です。逃げていた女子高生も心配してかけよりますが、血文字で「平気」と書き、健在振り(?)をアピール。救急車のサイレンの音に反応して立ち上がり、逃げ出しました。
 エンディングでは「若者文化成功ランド」(今回の「テーマパーク」の名前)のテーマ曲が流れ(?)ます。最後の「みんないつかは失敗者。君も今日までは僕らの仲間」という節を見て、ハウステンボスがUSJに手招きしているような画面を想像してしまいました。
 なお、今回のツボにはまったギャグは「死後に流れるテープ」と「『平気』の血文字」でした。

2004/1/9(金) モテモテ王国YS「第2話 テーマパークでもてる(前編)」

 トビラのアオリ文を見たところ、今回の連載再開については、かなり反響があったようです。まあ、私も10数年ぶりに「アンケート葉書」なるものを出しました。他にも同様の人が多かったのでしょう。
 さて、それはさておき本編。前回同様、ファーザーとオンナスキーの基本キャラのみの登場でした。「テーマパーク」と言っても、ファーザーが「ミッキーキャット」というドラえもんみたいなぬいぐるみ(ちなみに目はファーザーと同じ)を着るだけですが。そして、目のところにのぞき穴がないため、何も見えずに、叫びさまよう、という感じの話でした。
 ところで、「ぬいぐるみ」の頭をかぶる前のファーザーの雰囲気といい、ぬいぐるみの中で叫んだ後に「キャラが勝手にしゃべるのはプロとして厳禁じゃった」というセリフといい、やけに現実味がありました。もしかして、ながい閣下はこのバイトをやった事があるのでしょうか。
 なお、今回の一番気に入ったギャグは、オンナスキーの「また、いかれたか」に対するファーザーの「『故障かな?』と思ったらかかってきなさい」でした。

2003/12/25(木) モテモテ王国YS「第1話 アイドルファーちゃん」

 というわけで12月24日、近所の酒屋で一日早売りのヤングサンデー(以下YS)を買いました。約3年ぶりに読めるながい閣下の新作です。
 一応、指の先くらいの大きさながらも、表紙にもカットが入っています。ページを開いたところ、4色カラー1ページで、「これまでのあらすじ」を説明していました。
 扉には「掲載前より、たくさんのお問い合わせをいただきました」とあります。このあたり、根強いファンの多さを物語っています。あと、扉下には「愛称・キムタク」などという「死語」が書かれていました。少年サンデー連載初期の頃に、編集主導で行われてコケた「キャンペーン」です。今更こんなネタを持ち出すところを見ると、この短期連載は当時の少年サンデーの担当氏がYSに異動して担当をやっているようです。このセンスについては勘弁してほしいものですが、とにもかくにも復活させてくれたのは嬉しい限りです。

 さて、肝心の作品のほうですが、初めて読む人用、という感じで、少年サンデー連載初期のオーソドックスなネタをやっていました。いわゆる「ファーザーがモテるために○○になってナンパするが、女の子に相手をされない」というやつです。ただ、オンナスキーはその行動につきあわず、冷めた態度を取っていました。つまり、話のほうは、少年サンデーで連載されたのがそのまま続いた形になっています。
 少年サンデー連載時の特徴である、設定紹介文や「テーマソング」も出てきました。ただ、登場人物については、ファーザーとオンナスキーのみ。デビルやトーマスなどのレギュラーキャラも、警官・極道といったサブキャラ(?)も出てきませんでした。まあ、おいおい出てくるのでしょう。
 というわけで、話そのものはあまり特徴のないものでした。しかし、新作を見ることができただけで、十分喜ぶ事ができました。

2003/12/19(金) 突如の復活・・・しかし

 2000年、週刊少年サンデーで連載中だった「神聖モテモテ王国」がいきなり連載中止。単行本も出ない上に、サンデー公式サイトに「復活の予定はありません」とまで書かれ、このまま、ながいけん閣下は漫画界から姿を消したと思われました。
 ところが、2003年12月に突如「ヤングサンデー」で「神聖モテモテ王国YS」を短期集中連載することになりました。さらに、「ファンロード(以下FR)」でも執筆するとのこと。そういうわけで、新作についての感想を語るページを作成しました。

 さて、「復活」第1弾となったのは、12月15日発売のFR1・2月号、のはずだったのですが、原稿が間に合わなかったのか、再録が掲載されていました。その作品は1995年から96年にかけてのFRで「サンデー没ネタ救済シリーズ」みたいなタイトルで、3回掲載されたものの一つ「聖なる四人」でした。
 どうせ再録するなら、他誌で没になったものなどではなく、1989年までのFRに載っていた作品のほうがよかったと思うのですが・・・。

 というわけで、載っている漫画については、何も語る事はありません。しかし掲載されたページの「ハシラ」部分では興味深い企画を行っていました。ながい閣下・FR編集長K氏・編集スタッフ・ライターによる「対談」が掲載されていたのです。「対談」といっても、ながい閣下のセリフは二言くらいしかありません。ほとんどの部分は残る3人による、ながい作品と関係のない内輪ネタみたいな話でした。
 当然、FRとは5年以上ご無沙汰している私にも全然面白くない会話です。ただ、読んだ後しばらくして、かつて掲載されたある「ローディスト対談」を思い出しました。
 その「対談」とは、「パンロード13月号」(FR1987年6月号掲載)の巻頭企画「ローディスト対談、Kさん&二橋正さん」です。これは、道で見かけた見知らぬ人に「Kさん」がいろいろ質問します。相手が怒るような失礼な質問にも「Kさん」とその仲間たちは「(一同大爆笑)」と「内輪ウケ」していたりするのです。
 今回の「対談」と銘打ちながら、「主賓」をそっちのけに内輪話に走るあたり、「Kさん&二橋正さん」を思い出させられました。
 かつて単行本の後書きに「FRの連中とつきあいがない(中略)。みんないい人達だと思うんだけどさ、あの雰囲気に俺溶け込めなかったんだな。俺が入り込むには遊星爆弾落として住みよくしなくちゃいけねえもの」と書いていました。この「FRの連中」に対する認識が、あの「対談・Kさん&二橋正さん」を生み出したのかな、と今更ながら思いました。
 そういう意味では、意外な楽しみ方ができた「復帰第1作?」でした。