ながい閣下新作短評(2005年後半)

ながい閣下トップ2006年2005年前半2004年後半2003年から2004年前半まで

2005/12/16(金) ファンロード1月号の随筆「万物斉同・23」

 今月は、久々で通算4回目のアストロ球団ネタ。思えば、一番最初にやったのは、昨年の12月発売号。その時は、「なんでこれを・・・」という感じがありましたが、その後、テレ朝のナイター中継イメージキャラ(?)を経て深夜ドラマになったわけです。そう考えると、昨年の今ごろにこれを取り上げたのは慧眼と言えるかもしれません。となると、来年の今ごろは「ドッ硬連」あたりが深夜ドラマ化されるのでしょうか。
 今回は、人名事典風にして、4人ほどのキャラを紹介しています。軸となるのは話の後半に出てきた敵キャラの「峠球四郎」でした。この球四郎、アストロ戦士の一人でありながら、「ボール型のアザ」だの「沢村の遺志」などを相手にせず、敵チームを結成します。いわゆる悪役なのですが、冷静に考えれば彼のほうがまともだと、長井氏は分析。実際、理論では「アストロ戦士」は彼らに勝てず、主役の球一は彼の主張に対し、「こっち向けー!」みたいな事しか言い返せないようです。もっとも、結局、彼らの世界に入っていってしまったようで、長井氏はそれを残念がっています。
 さらにこのキャラに対する冷静な分析も加えています。なんでも、この球四郎というキャラは、自分と対極にいるアストロ戦士などとの戦いを通じ、自分も含めた彼らを俯瞰して見ることができる高みに登ったとの事です。つまるところ、のビクトリー球団編は球四郎の成長物語だったとの事でしょうか。
 話に対する突っ込みをしつつ、そのような視点で語ることもできるわけです。改めて長井氏のこの作品に対する思い入れを感じました。
 なお、他の「人名事典」は英語を話せないアフリカ系アメリカ人や、アストロ超人たちに仲間と間違えられてテスト(?)され、手首が砕けて再起不能にされたかわいそうな高校球児などが紹介されていました。

2005/11/15(火) ファンロード12月号の随筆「万物斉同・22」

 今回も漫画の紹介でした。題材は「愛星団徒(あせんだんと)」という全くもって知らない作品でした。調べてみたら先月の「ドッ硬連」と同じ作者でした。
 何か宇宙を舞台に、エロシーン(?)満載で、星の存亡をかけて野球で戦うという話のようです。なんか「宇宙版アストロ球団」かと思って長井氏の文章を読んでいたのですが、調べてみたら、本当に「体にあざのある選ばれた戦士たち」という所まで同じだったようです。
 とにかく宇宙人がいてエロがあって、「野球みたいな男ゲーム」をやる、という話のようです。なんでも敵は「五万光年の昔」から来たとか。長井氏も「五万光年とは・・・」みたいな感じで呆れていましたが、言うまでもなく、「光年」は時間ではなく距離の単位です。原作を読んでいなので、作者がわざとやったのか、本当に勘違いしていたのかは謎ですが・・・。
 なお、今回の文章は、改行が一度もありませんでした。これは何かの趣向なのでしょうか、それとも、こんな漫画に一段落以上使えない、という意思表示だったのでしょうか。

2005/10/15(土) ファンロード11月号の随筆「万物斉同・21」

 今回は「ドッ硬連」という、チャンピオンに載っていた「北斗の拳」系の学園番長モノについてでした。ただし、主人公は、「よく『ホアー』と言う」という小さな絵と、逸話が数文字で書かれているだけ。長井氏は副主人公格らしい「十文字」と、ラスボス的存在らしい「無覇」なるキャラの紹介に絞っています。
 ところが、その「十文字」ですが、何の活躍もしないようです。彼の役割は、新たな敵が出てきた時にボコボコにやられ、その姿を主人公の前にさらすのみです。それを評して警報のようなもの、と一度貶めます。さらに、新たな敵にボコボコにされ、そのまま連れて来られた事もあり、警報としての役目もできない事がある、とさらに貶めます。実際に、その後に出世しているので、何らかの活躍もしているのでしょうが・・・。
 対する敵の「無覇」はひたすら異常なキャラのようです。頭にはターバンを巻き、百足を食べたり、10万人をまとめて処刑できる死刑状をを学校の中に作ったり、「ホラー教」なる宗教に入って「ホラーの神は悪魔の中の悪魔だ」などとわけの分からない事を言ったりします。当然、十文字もボコボコにします。
 なんか最後はターバンの中に角が生えていたとか、実はその角は作り物だった、などという展開があったそうなのですが、長井氏は「無覇だから」と言って、意に介しません。
 今回のネタも元の作品を読んでいないので、よく分からない所が多々ありました。とはいえ、長井氏の1点集中型のネタの作り方は十分に楽しめました。ただ、「アストロ球団」の紹介を読んだ時のように、「元の作品を読みたい」という気持ちにまではなりませんでしたが。

2005/09/16(金) ファンロード10月号の随筆「万物斉同・20」

 今回は「仮面ライダー555」なる作品紹介でした。しかしながら、長井氏本人はその作品を見ていません。「橋本君」から借りたDVDは放置しておいて、「彼」とのメールのやりとりを元に作品について書いています。
 例のごとく、「彼」のメールは受けを取ろうとしてすべりまくります。そのすべったネタを適当に料理してに長井氏がとんでもない「仮面ライダー555」を創り上げます。それは頁の上半分の絵に端的に表れています。主役級は三人で「父親」と「タックン」と「馬」です。さらに「タックン」はなぜか体を真っ赤に塗っています。その「タックン」に「父親」は物をあげますが、「馬」には何もあげないようです。
 表現はいろいろと面白いのですが、やはり元の作品を見てのものではないので、今ひとつインパクトに欠けます。まあ、今回はレビューより「橋本君いじり」が主体だったのでしょう。

2005/08/15(月) ファンロード9月号の随筆「万物斉同・19」

 今回はゲームレビューでした。題材はGTAバイスシティなる作品です。元ネタは全くもってわからないのですが、長井氏解説を読む限り、道端間違って警官に手が当たってしまい、それに対する追及から逃げているうちに気がついたら戦車に乗ってアメリカ軍と戦う破目になってしまった男の話のようです。
 文章だけ読んでいると「そんなアホな」とも思えます。しかし、かつての雀鬼はぐれ旅、最近のアストロ球団など、長井氏の作品紹介は「いくらなんでもそれはないだろう」と思いながら、実際に元作品を読んでみると、その通りでした。したがって、このゲーム評も実際の内容をそのまま、長井流の独特の観察眼と筆致で表現したものなのでしょう。
 その無茶苦茶な運命の翻弄され、「投降するというコマンドがあれば」などとボヤきながら、段々とグレードアップする敵に対応してその武器や乗り物を奪って戦い続ける男。いったい、これからどんな戦いが待受けているのか、第2弾が楽しみです。
 なお、ページ上半分にはこのゲームの主役と思しき男が描かれています。そして「カット=ながいけん」という文字が添えられています。3ヶ月前に書いた、「長井建」と「ながいけん」の二つの「一面」と何か関係があるのでしょうか。

2005/07/15(金) ファンロード8月号の随筆「万物斉同・18」

2ヶ月連続で内面的な話が続いていたのですが、編集部からダメ出しを受けたようです。そこで今月は無難な(?)「橋本君ネタ」になっていました。長井氏も「真面目なのはすぐ書けるのだけれど」と書くのに苦しんでいました。まあ、「ネタ」が、「アニメ専門学校の学長」という内輪ネタと、「『彼』が用具も持っていないのに、オセロゲームの対戦に熱意を燃やす」では、確かに文章にしづらいでしょう。
 結局、「オセロをやる準備をする」みたいな事に大半を費やすという、苦心の跡が見られる文章になっていました。
 今のファンロードの読者の需要は全然わかりませんが、内面的な話はダメでこのような話ならOKなのでしょうか。不思議なものです。