これまでの日記から「漫画評論」に模様替え。第1弾は「アストロ球団」でした。
ある意味定番と言える「裏ギャグ漫画」ですが、不勉強な事に私は読んだ事がありませんでした。しかしおかげでかえって、長井氏ならではの鋭さを面白さを兼ね備えた文章を純粋に堪能できたと言えるかもしれません。
17年前、氏の書いた雀鬼はぐれ旅の「人名事典」を読んだ時、主人公・大神順三の風貌や特徴はもちろん、脇役の「大砲兼」の頭の形まで心に焼きつきいたものでした。その「異様な漫画を、読んでいない人の心に焼き付ける」という技術は17年たった今も健在でした。
この漫画は一文字で表現すると「男」となるそうです。「中にそれだけしか入っていない」とまで断言しています。やっている事は「野球のルールに似たとんでもない男ゲーム」とのこと。まあ、「打球を取ったロッテ(オリオンズ)の中堅手がそのまま電光掲示板にぶつかり、その状況の中、平然とアストロ球団の選手がダイヤモンドを一周している」そうですから、確かにそうなのでしょう。
人はどんどん重傷を負ったり死んだりします。しかし、死んだ人をヘリで上空から落とすと生き返るのだそうです。
そのように、漫画の異常さの核心を明快に表現する一方、独特の突っ込みも冴えます。「6ページもかけて走者にタッチする」や「何人もの野手が走者に襲い掛かる」という異常な表現を紹介しながら、それぞれのプレイについて「アウトだったようです」などと、いきなり「普通の野球的視点」を混ぜて論じたりしていました。
というわけで、とんでもない漫画をさらにとんでもなく表現する長井流漫画評論、来月が今から楽しみです。