イトーヨーカドー幕張店買い物バス

2014/11/7

 2014年8月末に、家から歩いて数分の場所に、千葉シーサイドバスのポールが新設された。
 場所は幕張本郷発津田沼行きが走っている通りだが、これまでバス停はなかった。そこに「幕張本郷六丁目」というバス停が出来たのだ。
 いったい、どこに行くバスなのだろうか、と思って見たところ、9月よりイトーヨーカドー幕張店行きのバスを新設すると書かれていた。
 運賃は100円とえらく安い。ただ、途中のバス停で下車はできない、との注意書きがあった。つまり、イトーヨーカドーへの行き帰り以外には使えない、というわけだ。
 詳しい情報を調べようと思い、千葉シーサイドバスの公式サイトを見たが、何も書かれていなかった。数日後に開通する新路線について何も書かない、というのは奇妙な事だ。
 不思議に思って、今度はイトーヨーカドー幕張店のサイトを見たところ、こちらには非常に詳しい情報が書かれていた。
 これまで、既に花見川区役所方面を循環するバスと、海浜のベイタウン方面を循環するバスが開業しており、この幕張本郷バスは三本目との事だった。
 そこには、時刻表まで掲載されていた。ちなみにこれは、紙の時刻表をデジカメで撮って、その画像をそのままアップした、というものだった。
 日本を代表する流通グループの公式サイトでこのようなページ製作をする、というのにはちょっと驚かされた。

 いずれにせよ、久々となる地元にできた新設バス停である。開業した次の休日に乗ってみた。
 ダイヤは平日・休日共通で、午前中から夕方まで、2時間に一本の運行である。
 幕張本郷六丁目バス停は、ライフケアという葬儀場のすぐ近くにあった。待っていると、定刻から少し遅れて、バスがやってきた。
 バスは青く塗られていた。これは、2006年に千葉シーサイドバスが幕張本郷からイトーヨーカドー経由で海浜幕張に行く路線を新設した時に投入した車両だ。
 わざわざ新車を導入するくらい、開業当初は千葉シーサイドバスは力を入れていた。
 しかし、利用者は延びず、実質的に撤退してしまった。ほぼ同時期に同じ区間を小型バスで開業した平和交通が現在でも運行を続けているのと対照的な結果になっている。
 いずれにせよ、その青いバスが久々に幕張本郷に戻ってきたわけだ。
 幕張本郷六丁目を出たバスは、次の交差点で右折し、幕張本郷五丁目バス停に停車した。これは、同じ道を走る津田沼行きと同じ場所だ。
 その次の交差点で津田沼行きは左折するが、このバスは直進し、幕張本郷中学校バス停に停車した。
 次のバス停は幕張本郷七丁目で、京葉道路を渡る橋の手前にある。同じ名前のバス停が津田沼行きにもあるが、双方のバス停は歩いて5分以上も離れた所にある。普通はこのような時は別の名前にするとしたものだが、買い物専用バスだからあまり気を使わなかったのだろうか。

 橋を渡ると右折し、上の台小学校バス停に停車する。続いて長い陸橋で幕張電車区・総武線・京成線をまとめて渡り、西の谷小学校バス停に停車する。
 間に長い陸橋があるとはいえ、二つ続いて「小学校前」のバス停がある、というのはかなり珍しいだろう。
 西の谷小学校を出てしばらくすると、丁字路がある。イトーヨーカドーに行くなら左折をするのが近道だが、バスは右折した。
 そして幕張本郷三丁目、さらには公民館近くにある幕張本郷二丁目に停車し、大通りに出た。

 実はここまでの経路は、2001年に突如新設され、2年ももたずに廃線となった幕張本郷循環バスと全く同じである。
 別に何かの偶然というわけではない。幕張本郷という町は幕張電車区で町域が二つに分断されている。それを結ぶのは二つの陸橋しかない。
 したがって、町内一周するバス路線を作るとなると、この経路にならざるを得ないのだ。
 いずれにせよ、同じ経路を走るバスが「復活」したのは、興味深いことだった。

 かつての循環バスはこの大通りで右折して幕張本郷駅に戻っていた。しかし、このバスは逆に左折する。
 そして、坂を降り、PCデポのある交差点で千葉街道に入った。
 千葉街道をしばらく進むと、旧道の分岐点がある。かつてこの車両も走っていた海浜幕張行きはその旧道に入るのだが、イトーヨーカドーに行くことのみを目的としたこのバスは、当然のように広い新道を突っ走る。
 この千葉街道新道をノンストップで走る、というのは、2004年まで走っていた「高速」バス以来の事だ。というわけで、これまた懐かしさを感じた。
 新道は空いており、あっという間にイトーヨーカドーに着いた。バス停は海浜幕張行きと共用で、降りるとすぐ目の前に入り口があった。

 帰りも同じバス停から出発する。向かいにも幕張・幕張本郷に行くバスが使う「イトーヨーカドー」バス停はあるのだが、店に直結する事を優先としたのだろう。
 その代償として、イトーヨーカドーを一周して千葉街道に入る、という経路になった。その結果、発車して2分後くらいに、イトーヨーカドーの正面玄関前を通過する形になった。
 そこからしばらくは国道14号を直進するが、行きと違い、途中で曲がった。この経路は、幕張学園循環バスと同じだ。そして、幕張西第二公園という京成と同じ所に設置されたバス停に止まった。
 同じイトーヨーカドーと幕張本郷を結ぶバスだが、こちらが100円均一であるのに対し、向こうは同区間は165円とかなりの差がある。
 まあ、ともに本数が非常に少ないので、競合することはない。そのため、このような形になったのだろうか。
 しかし、次のバス停である幕張西三丁目は、学園循環バスの停留所がないところに設置されていた。
 そして、京成のバス停がある、幕張西中学校・幕張西二丁目は通過した。幕張西二丁目は団地の近くなので需要があると思うのだが、こちらは京成バスに遠慮したのだろうか。このあたりの基準は今ひとつよくわからなかった。
 そして、千葉街道を陸橋で渡り、幕張本郷駅にに向かう。そして、駅前交差点のちょっと手前にある幕張本郷一丁目バス停に停車した。幕張本郷六丁目同様、こちらもこれまでバス停がなかった所にある。
 幕張本郷一丁目を出発すると、正面に陸橋が見える。
 既存のバス路線は、この交差点を左に曲がり、幕張本郷駅に向かう。しかし、このバスは駅を無視して、そのまま直進し、陸橋を渡った。
 幕張本郷駅ができてから様々な乗り合いバス路線が誕生したが、駅前バスターミナルを無視して走るのはこの路線が初めてだろう。目的はあくまでも幕張本郷の町域とイトーヨーカドー幕張店を結ぶ事だけなのだから、こうなったのだろうか。
 そして、陸橋をくだり、幕張本郷六丁目に停車した。

 幕張にイトーヨーカドーができてかなり経つが、このようなお買い物バスはこれまでなかった。
 やはりイオン城(イオンモール幕張)を意識しての事なのだろうか。
 冒頭に書いたように、車両もバス停も千葉シーサイドバスのものだが、サイトには一切記載がない。
 つまり、運営しているのはイトーヨーカドーで、千葉シーサイドバスは、車両や設備を貸している、というような形なのだろう。
 これまで我が家から大型スーパーに行くには、130円払って電車で津田沼に行くのが一番安かった。
 しかし、この路線が開通した事により、イトーヨーカドー幕張店が一番安くなったわけである。
 本数は少ないが、いろいろと面白いバス路線なので、また利用してみたいものだ。そして、利用者が増え、それにあわせて本数も増える、という展開になれば、と思っている。

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