幕張学園循環バス

2009/9/6

 幕張本郷を発着するバスは、基本的に駅間を結んでいる。そんな中、唯一他の駅に行かないのが本路線だ。行き先表示幕を見ると、「幕張学園循環」と書かれている。かつては、海浜幕張駅まで行っていたが、筆者が幕張本郷に住む半年前である1997年春には今の形になったそうだ。
 行き先には「幕張学園」と書かれているが、そのような名前の学校があるわけではない。海浜幕張駅と幕張駅の間の、湾岸道路の北側に、帯状に学校が設置されている地域があり、それを総称して「幕張学園」としているようだ。

 幕張本郷駅を出たバスは、他の路線同様、海側に向かい、幕張西二丁目に行く。さらに、新習志野行きと同じく、左折して幕張西中学前に行く。そして、ここで新習志野行きとも別れ、この路線だけの区間になる。
 次に止まるバス停は幕張西第二公園になる。このあたりは、団地と広大な公園が混在している。
 そのまましばらく進むと、前方に広大な敷地が出現する。かつてはゴルフ練習場だったが、現在はマンション建築中のようだ。
 ここでバスは、敷地に沿って左折し、ニトリの脇を通って千葉街道に入る。そして、入ったと思ったらすぐ右折し、先ほどのゴルフ場跡の向こう側に出る。千葉街道への出入りは手間がかかるため、少々効率の悪い路線設定だ。
 もっとも、マンションが完成した暁には、近隣のコロンブスシティ同様、この路線が敷地内に入って、アクセスを担うことになるのかもしれない。
 そして、ゴルフ場跡地が尽きた所に、市町村アカデミーというバス停に着く。ここからは、逆方向に海浜幕張からコロンブスシティを通って幕張本郷に行く路線のバス停が現れる。このあたりで、循環路線であるこの系統は行き先を幕張本郷に変えるため、幕張本郷行き同士がすれ違うことになる。
 では、どちらのバスが早く幕張本郷に着くのだろうか。一見、正反対の方向へ進んでいるこの系統の方が遅いように思われる。しかし、例えば市町村アカデミーの次にある神田外語大前からのバス停数を数えると、本系統が6つであるのに対し、コロンブスシティ経由の路線は8つある。しかも、コロンブスシティを抜けるあたりの道が複雑で時間がかかる事を考えると、本系統を利用したほうが早そうだ。
 しかしながら、筆者がこの路線に乗ったのは平日の夕方で、ちょうど仕事が終わる時間帯だった。ところが、コロンブスシティ経由のバス停には行列が出来ていたが、こちら側は誰も待っていなかった。まあ、こちらがこの時間帯でも1時間に2本しかないのに対し、向こうは17時台は3本、18時以降は4本という本数の違いもあるのだろう。
 しかし、幕張本郷に行く利用者の利便を考えたら、もっといい案内があるのでは、とも思った。というわけで、幕張本郷行きを待つ行列を横目で見ながら、筆者一人を乗せた幕張本郷行きは、誰もいないバス停を通過していった。
 そして、昭和学園秀英中学・高校を過ぎてると、海浜幕張と幕張駅方面を結ぶ通りにぶつかる。その向こうにはまだ放送大学や幕張総合高校など、「幕張学園」は続くのだが、バスは名前に反して、ここで学園地区と別れを告げて、左折する。
 次のバス停は「イトーヨーカドー」だ。かつて、ここは「幕張町四丁目」だった。その後、向かいにイトーヨーカドーが開店しても名前はそのままだった。ところが、幕張駅前の地下道開通と同時に、千葉シーサイドバスが海浜幕張と幕張駅を結ぶ路線を新設し、京成の「幕張町四丁目」と同じ場所に「イトーヨーカドー」というバス停を、さらに一つ隣に「幕張四丁目」というバス停を設置した。
 暗に京成に「バス停名をこちらに合わせろ」と言うようなこの行為に対し、当初は京成バスは無視していた。しかし、だんだんと「イトーヨーカドー」が多数派を占め、ついに「本家」であったこの路線も「イトーヨーカドー」に改称した、という歴史がある。
 ここを過ぎると、再び千葉街道とぶつかり、バスは左折して再び千葉街道に入る。先ほどとは違って、今度はしばらくこの広い通りを走る。その間、バス停は一つもない。そのままニトリが見えると、そこを左折し、行きと同じ経路に戻り、幕張本郷駅に帰ってくる。

 このバス、三回ほど乗ったが、いつも空いていた。たまに幕張本郷駅で発着する所を見るが、乗る客も降りる客も数人だ。まあ、常にそんな乗車率の路線が存続するわけはないので、おそらく、たまたま筆者が乗ったり見た時は空いていただけなのだろう。
 どうせなら、昭和学園を過ぎた後、左折してイトーヨーカドーへ行かずに、右折して海浜幕張に行けばいいようにも思える。しかし、道路の構造上、ここでは右折ができないため、このような循環路線になったそうだ。色々と変遷を続けた結果、今の形になり、それが12年続いているわけだから、この経路が最善なのだろう。
 色々と不思議な点が多い路線だが、これからも存続し続け、その独特の走りを見せ続けて欲しいものだと思う。