2003年7月前半のつれづれの野球見物日誌

2003/7/15 適材適所
 オールスター第1戦。両チーム本塁打のみの得点で、パリーグが1点リードして9回裏。ここで登板したのは、開催球場である大阪ドームを本拠地にしているバファローズの吉田豊彦投手でした。今期は中継ぎとして活躍し、3勝3セーブで防御率1.87と素晴らしい成績を挙げています。
 とはいえ、9回裏で1点勝っているのですから、そこに出てくるべきは「抑え投手」であるべきではなかったのでしょうか。ここ数年、パリーグではライオンズの豊田投手とマリーンズの小林雅英投手がともに絶対的な抑えとして活躍しています。そして、第2戦が千葉マリンである以上、最後に出てくるのは小林投手に決まっています。ならば、ここは豊田投手を出すのが普通ではないでしょうか。彼とセリーグの強打者の最終回での勝負を見たかったファンも多いはずです。
 「地元」の吉田投手に活躍の場を与えるのならば、今期、彼が実力を発揮している「中継ぎ」でその舞台を設定すればいいわけです。7回でも8回でも、彼の実力が最大限に発揮できる場所はありました。
 「地元」への配慮の仕方がちょっと違っているのではないか、と気になった第1戦でした。
2003/7/13 珍しくない発言を読み、珍しいものを見る
 今朝のスポーツ新聞を見たら、前回抑えられたラス投手相手に勝った事について田淵コーチが「1回やられた相手には2度とやられない。佐藤のようにな」とのたまったそうです。
 おそらくはスワローズの佐藤秀投手の事なのでしょうが、確かに前回は勝ちましたが、それまでに2回やられています。自らの事実誤認を、実例を挙げながら話すとは。相変わらず恐るべき記憶力です。なお、和田コーチの日記には、ラスを攻略というよりも相手の守備陣が勝手にコケてくれたという結果になったとごく自然な論評が書かれていました。ちなみにラス投手の失点は10ですが、自責点は2です。
 本当に、よくこんな「チーフ打撃コーチ」のもとで「チーム打率3割」が達成できたものです。和田コーチとオマリーコーチは日本球界史上最高の天才コーチなのか、と思えてきました。 

 さて本日。タイガース戦・マリーンズ戦を含むナイター3試合が中止。デーゲームは3試合とも実施という変わった日でした。そしてデーゲームでスワローズが勝ち、マジックは46のまま。
 さて、デーゲームのほうですが、一番重要度の高いライオンズ−ホークス戦にチャンネルをあわせました。プレーボールに間に合わず、13時10分ころに見始めました。ところが、不思議な事に、マウンドに松坂投手がいて、1回表でホークスの2対0なのです。防御率1点台の松坂投手が1回で2失点というだけ十分驚きです。しかも、そこからもホークス打線は面白いようにヒットを飛ばします。結局、0回3分の2で松坂投手はKOされました。そうは見ることができない光景でした。
 試合終了後には右ヒジ痛による登録抹消・オールスター辞退が発表されたそうです。昨年に続いての故障、やはり高校時代の酷使がたたっているのでしょうか。早く治ってほしいものです。
 ちなみにこの試合、5回あたりまで、毎回得点、新垣投手の完全試合、村松選手の今期2度目のサイクルヒットなど、いろいろな記録が期待されていたのですが、結局どれも実現しませんでした。
 ライオンズに初安打が出たとき、解説者氏は「若いうちから完全試合なんかやらないほうがいいんですよ」と言っていました。その発言を聞いて、「そう言えば初登板で無安打無得点をやって、2年目以降活躍できなかった選手がいたなあ」などと思い出しました。

 東京ドームでは2位のバファローズがファイターズと。前日ほどではありませんが、派手に本塁打が出ました。8回表には、山田捕手がリードして伊達投手が投げ、それを北川選手がライトに快打したものの、坪井選手がダイレクトキャッチして2塁走者戻れずにダブルプレー、というタイガースファン向け(?)の展開がありました。
2003/7/12 ベストメンバー
 日テレ系のアナウンサー氏によると、ここ数日の読売の野手陣は「ベストメンバー」だそうです。分類すると、FAおよびそれに近い形で移籍してきた、清原・江藤・ペタジーニの各選手に、読売のために変わったドラフト制度で入団してきた阿部・仁志・二岡・高橋の各選手となります。普通に入ってきたのは清水選手だけです。そのFA(その類も含む)・逆指名の人たちが4失策をして、読売は自滅しました。
 とはいえ、今年はともかく、この基礎戦力・補強システムなら、これまでと同じ、いやそれ以上のペースで今後も読売は優勝するでしょう。そしていつも「優勝メンバー」は上記のようなメンツばかりになるわけです。普通に高卒でドラフトにかかり、着実に努力して実績を挙げながら、よほどの事のない限り「ベストメンバー」にしてもらえない、斉藤選手や鈴木選手のくじ運の悪さを、しみじみと感じた次第です。
 あと、今年は好成績を挙げているにもかかわらず、14点負けているところで、サイクルヒット阻止要員(?)として登板させられた前田投手もたまったものではありませんね。まあ、この人の場合はFAで読売を選んだのですから、文字通りの「自業自得」なわけですから、仕方ありませんが。
 いずれにせよ、4人あわせれば入団時の金額が軽く20億を越えると思われる人たちに足をひっぱられて敗戦投手になったラス投手が哀れでなりません。というわけで、マジックは46になったようです。
2003/7/11 兵庫の二試合
 タイガース対読売戦は先制したと思ったら、いきなり大量点。途中からは工藤投手の緊張の糸が切れたことが、はたから見ても分かるほどのメッタ打ちでした。KO後は、元マリーンズのリリーフエースの河本投手に、昨年の日本一球団のリリーフエースだった河原投手と豪華な敗戦処理陣を投入してきました。河原投手はいつも通り失点していましたが、いつの間にやら、防御率が一桁に下げていたのには驚きました。いずれにせよ、これでマジック47。
 一方、ヤフーBBスタジアムで行われたブルーウェーブ対マリーンズ戦は、9回表に降雨で長い中断。再開後に初芝選手が同点本塁打を打って延長戦になりました。結局、22時53分までやって引き分けでした。この試合、「最下位攻防戦」にも関わらず、最後まで両チームのファンは声援を送っていました。こういうのを見ていると、「野球ファン」っていいものだな、と思います。
2003/7/10 初めて見た
 タイガース対カープ戦の9回裏、2点を追うカープは、他にもまだ野手は数人残っているにもかかわらず、無死1塁でブロック投手を代打に出しました。最近ですと松坂投手と桑田投手が代打で出てタイムリーを打ちましたが、自分が生中継を見ている試合で投手が代打、というのは初めて見ました。
 結果は2ストライク1ボールからデッドボールというやや味の悪い結果でした。チームにとってこの代打起用がいいのかは分かりませんが、面白いのでまた代打に立ってほしいものです。
 というわけで無死1・2塁、長打が出れば同点、一発出ればサヨナラ、というピンチになったのですが、次の新井選手はセカンドライナーを打ち、2塁走者が戻れず、併殺になってしまいました。そこまではいいのですが、この場面でカープの山本浩二監督は、「ワンバウンドしていたのでは」と審判に抗議していました。走者が二人ともライナーだと思って帰塁しているのだから、そんな事はないと思うのですが。あとこれって、もし本当にワンバウンドだったら、併殺どころか三重殺で一気に試合終了になりかねないと思うのですが・・・。同じ発音の名前を持つ某パリーグ球団監督ほどではないですが、いろいろ奇妙なものを見せてくれた山本浩二監督でした。

 というわけで、これでマジック48となりました。金曜からは16ゲーム離れた4位球団と3連戦です。それはいいのですが、今日の「プロ野球ニュース」の解説陣は、締めの所で、その4位球団を激励するような事ばかり言っていました。金曜がその1試合だけだったら分からなくもないですが、セパ5試合が予定され、しかも1ゲーム差で競っているホークス−ライオンズ戦があります。その試合の予告先発投手の論評すらせず、4位球団の激励ばかりしても意味はないと思うのですが。どうしても4位球団の激励をしたいのなら、9ゲーム差で首位球団を追っているファイターズを激励したほうが、まだ理にかなっていると思いました。
2003/7/9 謎過ぎる投手起用
 数日前、当欄でマリーンズの小林宏之投手の酷使を批判しました。その後しばらく登板がないと思ったら、今日の先発投手になっていました。先発のコマが不足しているための緊急登板ではなさそうなので、これからはローテーション入りするのでしょうか。いずれにせよ、登板数の記録を作らされずにすんだようです。それにしても5対0で勝っていて、9回裏にリリーフエースの小林雅英投手を登板させるとは、相変わらずよくわからない采配です。
 タイガースは負けたものの、マジックは49のままのようです。マジック対象チームが多すぎて、どこが負ければマジックが減るかがよくわかりません。こんな状態だと、ただでさえ分かりにくい「マジックの条件」がより一層分からなくなります。
2003/7/8 身内
 今日のカープ−タイガース戦は倉敷でのカープ主催試合でした。したがって、解説者もカープ系で大下剛史氏と西田真二氏でした。必然的にカープ寄りの解説になるのですが、日テレを筆頭とする地上波系全国放送とちがい、「どぎついひいき放送」という事は全然ありません。
 あくまでも軸はカープですが、タイガースの事を不当に貶める事もなく、下手な「タイガースびいき放送」よりもずっと楽しく聞くことができました。
 この試合、アリアス選手の2ラン2発などでタイガースの快勝でした。しかしながら金本選手は無安打の上に、9回裏は大勢には影響がなかったものの、失点につながる失策をしてしまいました。それを見ていた両解説者は「カネ、大丈夫か?」「疲れがたまっているのでしょうが」と、完全に「身内」として話していました。カープ時代の金本選手の人となりが分かったような気がしました。

 それにしても7月8日でマジック49ですか。一応、1987年から2001年(除・1992年)の反動がきた、と解釈することにしています。
2003/7/6 クライマックス連発
 デーゲームのホークス対マリーンズ戦を見ました。ここまで2勝11敗と、タイガース対ベイスターズ戦ばりのすごい対戦成績。しかしこの日は、序盤から小刻みに加点して大物新人の和田投手をKO、投げては清水直投手が完封し、5対0で快勝しました。
 特に4回裏に井口・松中・城島のクリーンアップ3選手を三者凡退に抑えた回は圧巻でした。最後も2死1・3塁でバルデス選手が投手の下を抜く当たり。センターに抜けると思ったら、小坂選手が横っ飛びで取って、2塁に駆け込むというファインプレーで締めました。
 このような試合運びを見ていると、とても2勝11敗のカードには見えないのですが、勝つときはそんなものなのでしょうね。

 清水投手のインタビューを聞き終わって2位攻防戦のライオンズ対バファローズ戦にまわしました。するとバファローズが1点勝っている場面で9回裏となっていました。
 新リリーフエースの高村投手が登板、簡単に2アウトを取ったものの、代打の小関選手が初球をヒットして出塁しました。次の打者はカブレラ選手。ここまで高村投手相手には4打数3安打2本塁打!とのこと。際どいところをつきながら、ストレートのフォアボールとしましたが、次の和田選手も高村投手には5打数3安打。これまたストレートのフォアボールでついに2死満塁。
 次の打者は代打の平尾選手。昨年、バファローズに引導を渡したサヨナラヒットを打っています。カウントは2-3と文字通りのフルカウント。しかしなんとか打ち取り、バファローズが勝ちました。どちらを応援しているわけでもないですが、このような場面は見ていても気合いが入ります。

 今度はベイスターズ対カープ戦にまわすと、こちらも9回裏。ベイスターズが2点負けていましたが、2死1・2塁で多村選手がタイムリーを打ち1点差。さらに打席には勝負強い種田選手。アナウンサーも少年ファンからの「種田選手の構えが好きです」などという応援FAXを読み上げます。
 その直後、黒田投手は2塁に牽制。これがアウトで試合終了。2塁の万永選手は猛抗議しますが、もちろんくつがえりません。直前の試合とは逆に、えらく気の抜けるクライマックスでした。
2003/7/5 大台
 ドラゴンズの立浪選手を最初に見たのは甲子園大会でした。比較的小柄ながら、本塁打を連発していたのを覚えています。この世代の他の高校野球の選手は誰も覚えていませんから、相当印象に残っていたのでしょう。
 プロ入りしてからは、さすがにホームランバッターにはなりませんでしたが、安定した実力を発揮していました。一番、三番、四番などいろいろな打順を任されて、きっちりその仕事を果たしていました。
 そして本日、ついに二千本安打を達成しました。ドラゴンズファンではありませんが、やはりアマ時代から知っていた選手なだけに嬉しいものです。
 同時に、自分と同じ年の人が二千本安打を達成した、という事実に、改めて自分が年をくった事を実感しました。
2003/7/3 ファン投票
 オールスターのファン投票の最終結果が発表されました。ドラゴンズの川崎選手を筆頭に、いろいろな問題点が浮き彫りになった投票だったと言えるでしょう。ネット投票のシステムの問題もあるのでしょうが、やはり「誰にでも投票できる」というのが問題なのでしょうね。
 他にも以前から思っていたのですが、「球団推薦選手」という制度もどうかと思います。現在は、球団につき一ポジションにつき一人が記載されます。ネットでも葉書でも、この推薦選手の場合は選択するだけでいいのに対し、それ以外の選手だと名前と背番号を調べて書かねばなりません。かつての葉書だけだった時代なら、仕方ないかもしれません。しかし、ネットの場合は、全選手の情報を簡単に確認することができるのですから、別に一部の選手に限った選択肢を設定する必要はありません。
 しかも、この「推薦選手」を設定するのはかなり早い時期です。したがって、実質的に今シーズンずっと抑えをやっているタイガースのウイリアムス選手が中継ぎに登録されて票割れする、という事がありました。
 せっかくネットで多くの票を集めることができるようになったのですから、それに即した、より的確に投票が行われる制度を作って欲しいものです。
2003/7/2 「新人」?
 ヤンキースの松井選手のオールスター出場が有力となりつつあります。するととたんに、「ヤンキースの新人の出場は、ジョー=ディマジオ選手以来」などという記事が書かれました。佐々木選手・イチロー選手の時もそうでした。まあ、アメリカのマスコミがそのように書くのはある意味仕方がありません。しかし、日本のマスコミが書くのはいいかげん、どうにかならないものでしょうか。
 三人とも、日本プロ野球史上に残る活躍をした選手です。それを大リーグに行ったら新人扱いする、というのは、「日本のプロ野球はアメリカのノンプロや学生野球と同レベルだ」と主張しているようなものです。
 ついでに言うと、記録的な面でももう少し考えてほしいものです。現状では日本での記録とアメリカでの記録を合算することはできません。しかし、報道するときくらいは、「日米通算で○セーブとか○本目の安打・本塁打」という表現をもっと使ってもいいのでは、と思う次第です。
2003/7/1 サイクルヒットほか
 ホークスの村松選手と、スワローズの稲葉選手がサイクルヒットを達成しました。1日に2人は史上初とのことです。また、稲葉選手は6回降雨コールドの試合で、4打席でのサイクルヒット達成。これもかなり珍しい記録ではないでしょうか。
 また、サイクルヒットは1950年以来で57人目、1人で2回以上やっている人もいますが、だいたい年1人ちょっとのペースです。ところが今期は既にブルーウェーブのオーティズ選手と、ドラゴンズの福留選手が達成しているので、シーズンの半分しか終わっていないのにすでに4人も出ているわけです。理由はよくわかりませんが、今年はサイクルヒットの当たり年のようです。

 ところで、マリーンズの小林宏之投手が今期36試合目の登板で本塁打を浴び、今期6敗目を喫しました。チームの試合数が69試合なので、このペースでいくと、72試合以上となります。場合によっては日本記録の78試合も夢ではありません。などというと、「日本記録にむかってまい進」みたいですが、実際は無意味に酷使をされているとしか言いようがありません。中には10対4くらいで勝っている試合での登板もありました。ちなみに、1昨年に78試合登板のタイ記録を作ったカープの菊地原選手は、酷使がたたって昨年は4試合、今期も3試合しか登板していません。
 せめて優勝がかかっている年ならわからない事はありませんが、今期はよほどの事がない限り、マリーンズは4位か5位でしょう。そんな年になぜこのような酷使をするのか、理解に苦しみます。
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