2.掃除機と雑巾で治った故障

 筆者の職場のパソコン環境はなかなか奇妙である。導入するときに計画性がほとんどなく、職場の広さなどを考えてずにタワー型を3台導入した。旧来のMS-DOSのパソコンのデータをコンバートしようとしなかったため、そのマシンも並行して使用し、現在に至っている。
 その結果、パソコンを置く場所がなくなり、3台のタワー型パソコンは床に設置したのだ。それから数年たった先日、その床置きの一台が起動できなくなった。
 とにかくSafeモードにすらならない。ためしに、付属の起動ディスクを入れて電源を入れなおしてみたが、「CD-ROMドライブを認識できません」などというような意味の英語が表示されるだけで、わけがわからない。
 画面に「Hit F1 button」みたいな事が表示されたので、押してみたら、BIOSの画面が出てきたが、筆者はBIOSについての知識はほとんどゼロなので、ヘタに触らないほうが無難と思い、何もしなかった。というわけではっきりお手上げ状態になってしまったのだ。
 しかし幸い、コンピュータ関係の仕事をしており、自作の経験のあるなどハードウェアの知識が豊富な人が別件で来ていた。そこで空いた時間を利用して見てもらった。
 その人は、開口一番「床に置いているのですか…」と言った。そして、ふだんそのマシンを使っている人から、「何度か変な音が出ていた」という話を聞くと、コードを取り外し、マシンを台の上に乗せた。そこであらためて見ると、ものすごい汚れである。埃はこびりつき、もともと白かったはずの筐体は、灰色になっている。そしてその人は宣言した。
 「音が出るという事は埃でファンの回転がおかしくなっているのでしょう。とりあえず蓋を開けて中を掃除してください。それからもう一回見ます」とだけ言って、用事に戻った。
 そこで、中を見たのだが、その汚れ具合は圧倒されるほどである。ファンは埃がへばりついているし、ボードの類も埃が積もっている。とりあえず掃除機で吸えるだけの埃を吸い取ったあと、雑巾とチリ紙で中全体を拭いた。とはいえ、ボードはヘタに触って壊したら取り返しのつかないことになるので、たいして拭けなかったのだが。
 とりあえずできる限りの掃除はしたので、蓋を閉じた。あとは先程の人に治してもらえばいいのだが、ものは試しにと電源スイッチを入れてみた。すると、なんとWindowsが立ち上がったのだ。
 おそらくは、埃のせいで異常をきたしていた回路が、掃除したために正常にもどったのだろう。しかしそれにしても、ハイテクの集積といえるパソコンの故障が掃除機と雑巾で治ってしまったことには驚くしかなかった。
 今回の故障で得た教訓は「パソコンの掃除は定期的にやらねばならない」という、極めて基本的かつ初歩的な事だった。まあ、何にせよきちんと掃除をするに越したことがないのだが。
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