2000年秋の関西(2000/11/22・23)

 
 筆者は高校時代から数年に一回は関西に行ってブラブラする習慣があった。結婚してからはなかなかできなかったが、先日所用があったので久々に行く機会ができた。たいして時間が取れなかったが、気づいたことをいくつか羅列してみる。

1.路面電車→地下鉄

 最初に京都に行き、3年ほど前に開業した地下鉄東西線に乗った。この路線は一部区間が京阪電鉄京津線と区間が重なっており、その部分は京津線を廃止し、京津線が地下鉄に乗り入れる形となった。
 それだけでは珍しくないのだろうが、京津線の廃止区間の何割かは路面を走っていたのだ。市内電車のような純粋な路面電車ではないとはいえ、これまで路面を走っていた部分を地下鉄に置き換えるとどういう事になるのかが興味深かった。
 京都駅から地下鉄烏丸線に乗り、烏丸御池駅で東西線に乗り換える。しかし京阪に直通する列車は次の京都市役所前から出ているので、ここからは乗れない。そこでとりあえず乗換駅の御陵まで行って乗りかえることにした。京都市役所駅の手前では京阪直通の電車を見ることができたのだが、やけに編成が短い。途中駅では「浜大津方面行きの電車はこのドアの前には止まりません」という表示があった。
 そして御陵駅で後からきた京阪直通電車に乗り換える。すぐ地上に出て京阪山科駅についた。地下鉄東西線はホームドア方式を採用している。東京ではホームドア方式の地下鉄南北線との相互直通運転に備えて、都営地下鉄三田線と東急目黒線(旧目蒲線)は既存のホームにホームドアをつける工事を行っていた(ごく一部の狭いホームの駅を除く)が、こちらはその気配すらない。次の四宮駅で降りたのだが、ホームドアはもちろんのこと、自動改札機すらなく、ローカル私鉄の駅のような風情の改札口で一人の駅員がお客をさばいていた。
 さすがに自動券売機はあった。その上の運賃表を見る。当然地下鉄東西線の直通切符も売っているが、面白い事に気づいた。地下鉄東西線と京阪京津線は御陵駅で分岐するが、次の山科駅までは実際は並走している。したがって、四宮から京阪山科を通り過ぎて御陵に行き、そこから地下鉄に乗り換えて地下鉄山科駅に行く人は存在し得ない。
 しかしこういう場合、たとえどんなマヌケなルートでも運賃表にはその駅までの表示はなされる。例えば、高田馬場駅から池袋駅まではJRなら130円で行けるにもかかわらず、西武線の高田馬場駅では、所沢を経由して池袋まで行った場合の運賃の五百数十円がちゃんと表示されている。しかしながら、この線では「地下鉄山科駅までの切符は発行しません」という表示がなされていた。
 路面区間を最新の地下鉄に置き換え、なおかつ残った区間はそのまま使用する、という不思議とも言える運営方法は筆者のようなマニア(?)には大変面白いものだった。

2.樽入りの漬物

 一度市内に引き返し、京都に勤務している大学時代の後輩と飲みに行った。彼の案内で「錦小路商店街」という所を通った。普通の商店街(といっても商店街そのものが最近はだんだんと消えつつあるが)なのだが、京都らしさを感じたのが、漬物屋だった。よくある漬物とともに、関東ではまずみないような漬物が樽に入って売られていた。別に京都でなくても本格的な漬物屋ならどこでも樽売りなのだろうが、種類が豊富でしかも店が複数あるあたりは京都らしいなと感じた。
 その印象もあり、行った居酒屋では「漬物の盛り合わせ」を頼んだ。出てきた漬物は、筆者がこれまでに食べたことのない野菜を独特の味で漬けたものだった。おそらくは本格的な京都ものなのだろうが、残念ながら筆者の口にはあわなかった。

3.鉄道会社の激しい争い

 翌23日、午前中に用事をすませた後、京橋からこれまた数年前に開業したJR東西線に乗ってみた。用事のあった所から京阪電車で京橋に行き、そこからJRに乗り換える。
 切符を買おうとしたら、ある表示が目に付いた。そこには「大阪ドームへ行かれる方は大正駅まで往復切符を購入してください」とある。確かにJRの環状線でその大正駅までは一本だ。しかしながら、大阪ドームの真の最寄駅は京橋から出ている地下鉄の「大阪ドーム前千代崎」という駅である。地図を見る限りではこちらのほうが歩く距離は短くてすむ。
 おそらくは増収のため、地下鉄でいけることを知らない客をJRで囲い込もうという算段なのだろう。確かに往復切符を買わせてしまえば帰りに地下鉄の駅に気づいてもJRに乗る可能性は高い。頭のいいやり方とも言えるが、あまり好感は持てなかった。

 さて、JRの車内では「Jスルー」なるものの案内が掲示されていた。これはプリペイドカードを直接自動改札機に通せるサービスで、JR東日本では「イオカード」という名前で行われている。しかしながら、そのサービスの内容は格段に上だった。
 例えば定期券で乗車して区間外で下車した場合、仮にイオカードを持っていても下車駅の自動精算機に定期を入れ、精算額が計算されたらイオカードもしくは現金を入れて、精算機から出される精算券を受け取ってそれを自動改札機に通さねばならない。混雑状況によっては精算機の前に行列ができるため、これに要する時間は相当かかる。そのため、筆者は精算機の混雑が予想される駅に行く場合、定期の区間の境目の駅でいったん改札を出て、わざわざイオカードで入りなおしている。
 ところがJR西日本では同じ事をする場合、定期券と「Jスルーカード」を一緒に自動改札機に入れるだけで事足りるのだ。それを知ったときは「同じJRでなぜこちらではできないんだ、とJR東日本に抗議してやろうか」と一瞬思ったほど衝撃的だった。JR西日本がこのサービスを始めたのは比較的最近ということをふまえても、相当先進的なサービスと言えるだろう。
 一方、私鉄のほうも負けてはいない。関東では今年の10月にやっと「一枚のカードでほとんどの私鉄の自動改札機が通れる」という「パスネット」という名称のサービスが始まったが、関西では「スルっとKANSAI」という名前で五年くらい前からやっていた。しかもそのカードでバスに乗ることもできるようになっていた。
 昔から、関西のほうが鉄道のサービス競争が激しいと言われていたが、カードにおいても、それが顕著に表れていると改めて思った次第だった。

4.余談二つ

1.相変わらず、大阪駅のキオスク書店のレジ近くにはホモ雑誌が平積みされていた。

2.かつて住んでいた西宮の家の近くにセブンイレブンができていた。関西で見たのは初めて。あと、その近くでかつて野球などをやっていた空き地が豪華なライオンズマンションになっていた。

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