幕張メッセ改造計画

 筆者の住む幕張本郷は総武線から幕張メッセへ行く時の乗り換え駅なので、駅に「今月の幕張メッセでのイベント一覧」のポスターが掲示されている。
 「World PC EXPO」や「東京ゲームショー」のように、全館を使った全国規模のイベントのみならず、ホールひとつ分だけを使った宗教団体のイベントまでも掲載されるが、それでもなんか閑散とした印象はぬぐえない。
 そしてついに今月(2002年1月)はこれまでイベントを二列で掲載していたのが、一列だけになってしまった。いくら先の見えない不況とはいえ、あまりにも寂しすぎる。しかも、ライバル(?)の東京ビッグサイトのほうは、そこそこ予定が入っている。イベント数でいうと、メッセが6件なのに対し、ビッグサイトは18件もある。
 当然、赤字となっているようで、県や市にとってもお荷物となっているようだ。一応、「幕張新都心」の基幹施設の一つとして造られたはずなのに、なぜここまで落ちぶれてしまったのだろうか。筆者なりに解決策を考えてみた。
 その結果としては現実的な策は「40年前のような好景気が訪れる」くらいしかなかった。しかしそれでは夢も希望もない。そこでここでは現実性を度外視した解決策を書き連ねてみる。なお、首都圏にはビッグサイト以外にもパシフィコ横浜のような競合施設があるが、本稿では便宜上、比較対象をビッグサイトのみとしている。


1.新駅設置と新路線でアクセス時間を大幅短縮

2002/1/12

 幕張メッセの不利な点としてまず思いつくのが交通の便の悪さである(幕張メッセへのアクセスに関するページ)。ただでさえ都内にないというのに、都心への連絡に難がある京葉線の沿線なのだ。
 新橋からの「ゆりかもめ」が正門のすぐそばに着き、東京駅・浜松町駅・横浜駅からのバスが構内に着き、さらに埼京線とりんかい線の直通運転により、新宿・渋谷・池袋から一本で行けるようになってしったビッグサイトには圧倒的な大差をつけられている。
 対して、幕張メッセの交通手段は京葉線と幕張本郷からのバスのみ。しかも、海浜幕張駅からの距離も短くない。ビッグサイトの国際展示場駅からと距離的には同じくらいだが、歩道の広さが全然違う。また、バスも定期便の「幕張メッセ」バス停は、東の端まで歩いて3分くらいの所にある。構内に着くビッグサイトとはえらい違いだ。しかも鉄道との乗り換え駅である幕張本郷は快速すら止まらない。

 つまり、幕張メッセは建物に入る前の段階でビッグサイトに大差をつけられているわけだ。これを解決する方法は一つしかない。「幕張メッセ駅」をメッセの真下に作り、「改札を出て地上に出たら受付ホール」くらいの状態にするのだ。
 しかし、既存の京葉線からただ支線をメッセまで引くだけでは効果は低い。京葉線は東京駅が起点となっているがその「東京駅(京葉線地下ホーム)」は元々の東京駅から10分以上歩かないとホームに着かないというとんでもない所にある。東京駅前からの定期バスに乗れば標準で35分でビッグサイトに着くのだ。いくら新線を作っても起点の駅がこれでは意味がない。
 そこで筆者が目をつけたのは地下鉄有楽町線である。この線は新木場駅で京葉線に接続する。また、乗り換え駅も充実しているので、都内のあらゆる主要駅へ乗り換え1回で行くことができる。
 まず新木場に有楽町線から京葉線の渡り線を作る。その上で都営新宿線のような直通快速列車を走らせる。すでに豊洲駅は追い越し設備があるので、もう一駅に待避線を作れば運行可能だろう。
 停車駅は池袋・飯田橋・市ヶ谷・永田町・有楽町・新木場・舞浜・新浦安。次はもう終点「幕張メッセ駅」だ。これなら有楽町から30分弱・池袋から45分。新宿・渋谷からの乗り換えでも1時間あればメッセの真下に着く。大イベントがある場合は、有楽町からノンストップでメッセに行く「臨時特別快速」を設定すれば、さらに便利だ。
 また、武蔵野線直通列車で南船橋止まりのものを「幕張メッセ駅」まで延長することにより、総武線および松戸・浦和方面の利用者の利便性も増大するだろう。
 ただ、これだけの投資・努力をしても「やっと都内からの所要時間がビッグサイトとほぼ互角になった」にすぎない。
路線イメージ&所要時間想像図


2.「千葉」の束縛からの脱却

2002/2/28

 幕張メッセの不利な点は、ただ「遠い」というだけではない。「遠い千葉にある」という二重の苦しみがあるのだ。
 とにかく、千葉には「遠い」という印象が強い。一応、東京駅から横浜と海浜幕張までの所要時間はほぼ同じなのだが、上で書いた「京葉線の東京駅」という事情を抜きにしても、多くの人は横浜のほうを近いと感じるだろう。
 千葉県内にあるディズニーランドがあえて「東京」を冠した理由も、おそらくはここにあったと思われる。メッセの場合は「千葉」ではなく「幕張」を冠しているが、これもさらに逆効果で、「千葉の中心ではないどこか」という印象しか持たれない。
 もちろん、名前だけを「東京メッセ」などと改称しても、冷笑を浴び、余計使用頻度はかえって下がるだろう。表面的なイメージチェンジではだめなのだ。

 こうなると、解決策は一つしかない。幕張メッセの敷地を、東京都に割譲するのだ。それにより、幕張メッセは都内の建物となる。名前にも「東京」をつけ放題だ。新宿区や渋谷区にでも割譲すれば、いきなり都心(「幕張新都心」ではない)の一角となれる。
 これと最初に書いた直通新路線を組み合わせると、イベントの案内文などの印象も大幅に変わる。現在なら「千葉市の幕張メッセで行われる○○イベント。行きかたは東京駅からJR線京葉線快速電車で海浜幕張まで30分。海浜幕張駅から徒歩5分。」が「都内の東京メッセ(仮称)で行われる○○イベント。有楽町からノンストップ快速で25分」となるのだ。
 同じ場所で行われても、この二つでは、東京からの距離感が全然違うのがおわかりいただけると思う。また、イベントに来てもらうよう営業するにも「今度千葉の幕張メッセでイベントやるので」と「今度、都内のメッセでイベントやるので」では集客力が全然違う。
 また、かつて幕張メッセは「千葉県青少年保護条例」のおかげで、年に4〜6日開催される、1日10万人の集客を誇るイベントを中止せざるをえなくなった暗い過去がある。これも、東京都に割譲すれば、問題は解決する。イベントの再誘致も可能かもしれない。

 千葉市は2001年度に幕張メッセの赤字に6億8000万円も使ったそうである。ならば、住民税を払っている一人として、何かの解決策を提示できないかと思って、2回にわたって戯言を書き連ねてみた。しかし、書けば書くほど、メッセの将来性の暗さを実感した次第である。
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