かつて、国鉄と私鉄が並走している区間では、大抵、私鉄が優位に立っていた。しかし、その中でこの京成電鉄だけは、国鉄に優位に立たれていた。もちろん、現在もJRに大差をつけられている。
いったいなぜそこまで差をつけられているのかを考え、その差を縮める方法について書いてみた。ただし、経費的なものおよび技術的な点においての「リアリティ」は考えていない。まあ、夢想的な文章として読み流していただければ幸いである。
1.都心直通ルート改造
「京成電鉄」はその名の通り、東京と成田を結ぶ線である。ところが、確かに東京都を起点としているが、直営のターミナルは東京にも新宿にもない。オフィス街ではない上野が都内のターミナルとなっている。しかも、他の大手私鉄とJRの接続駅である新宿・池袋・品川がJRの駅とほぼ一体化しているのに対し、京成上野駅はJR上野駅とはちょっと離れている。実質的な接続駅は日暮里で、スカイライナーなども止まるが、上下2線でもちろん始発列車はない。
このように、他の私鉄などと比べても明らかに都心でのJRとの接続が悪い。また、他の私鉄と同様に、地下鉄との直通運転もしているが、乗り入れている都営浅草線が、裏通りみたいな所を通っている。たとえば、銀座地区の駅だと「東銀座」になる。また、現在「日本橋」を名乗っている駅も、東京メトロの日本橋駅よりはかなりはずれにあり、かつては「江戸橋」という駅名を使っていたほどだ。
さらに、この地下鉄との接続の仕方も良くない。一度上野に向かってから南下して押上に出て都営浅草線に乗り入れる、という大回りのため、時間がかかる。たとえば、船橋から浅草橋に行くのに、総武線の各駅停車が30分で行くところを、京成の特急は33分かかる。船橋−新橋だと、総武線の快速が33分でいくところを、京成の特急は43分かかる。(※比較対象はいずれも平日朝8時15分頃に船橋を出る電車)。
これでは、京成に勝ち目はない。だいたい、運賃だって、同一区間だと京成のほうが高くなる。ましてや、地下鉄に乗り入れれば双方の運賃が合算されるわけだから、勝負にならない。
つまり、現状では構造的に勝負にならないのである。実際、京成沿線に住んでいる都内の利用者の多くは、京成船橋でJRに乗り換える。これは京成にとっても損だし、利用者にとっても極めて不便だ。実際、朝の通勤時の両駅の間は非常に混雑するらしい。これを改善するには、従来のと別に都内に出る経路を開拓するよりない。
京成沿線から都内に出る非JRの鉄道路線は二つある。一つは勝田台から東葉高速・東京メトロ東西線に乗り入れる経路だ。勝田台から日本橋までだと、京成特急だと59分かかるが、東葉高速を使えば49分だ。ただ、この路線の問題点は東葉高速の運賃の高さだ、勝田台−西船橋は快速で18分、各駅で22分で行ける距離なのだが、東葉高速線の運賃は高く、勝田台−日本橋間で比較すると、京成経由だと680円だが、東葉高速経由だと880円もする。6ヶ月定期だと3万8千円の差になる。
これでは、少々速くてもだめだ。だいたい、勝田台−京成船橋間の利用者には関係のない話になってしまう。
東京と千葉を結んでいるもう一つの経路は都営新宿線だ。千葉側の終点は「本八幡」であり、一見、JRとだけ接続しているように見える。しかし、実際には都営の本八幡駅はJRの駅と京成八幡駅の中間地点にあり、乗り換えに要する時間はさほど変わらない。
しかも、所要時間もJRと互角で、本八幡−新宿間は、朝の通勤時だとJRで42分、都営新宿線で43分だ。さらに、都営新宿線には急行運転がある。これを使えば、JR利用者が御茶ノ水で快速に乗り換えて新宿に出た場合と比べても、JRが39分かかるところを、新宿線急行は28分で行く(ラッシュ時に都営新宿線に急行はないので、朝10時頃の本八幡発で比較)。
これなら、十分に勝負になる。値段的にも、たとえば京成の八千代台から新宿に行く場合、京成船橋でJRに乗り換えると片道だと都営新宿線経由のほうが120円安い。6ヶ月定期だと、3,500円ほどJRの経由のほうが安い(※JRの定期は分割購入した場合)が、直通運転が実現すれば、到達時刻が早くなるわけで、それならこのくらいの差ならどうにかなるだろう。
※なお、冒頭に書いたように、本ページでは経費の事を度外視している。実際にこの「直通運転」を実現させるには、京成八幡−都営本八幡に連絡線を作るだけではすまない。双方の鉄道は、線路の幅が違っており、線路がつながっても乗り入れはできないのだ。それを実現するには、ヨーロッパで線路の幅の違う国同士で直通運転をする際に使われる「フリーゲージ列車」でも導入しないと不可能だ。(参考ページ)。なお、これは東葉高速に乗り入れる場合も同様である。
2.京成千葉線改造
既に京成千葉線乗車記でも書いたが、京成千葉線は千葉と東京を結ぶ路線というよりは、千葉と京成津田沼を結ぶローカル私鉄とも言うべき路線構造・運行形態である。
かつてこの線を経由して千葉・市原のニュータウンと東京を結ぼうとした「千葉急行電鉄」は、経営破たんし、京成が「京成千原線」として引き取った。一度この千原線の終点の「ちはら台」に住んでいる人に話を聞いた事があるが、京成は遅すぎるので、近くにある駅を使わずに、バスで外房線の鎌取に出て、JRで都内に通勤している、と言っていた。
この京成千葉線を改造し、せめて、ちはら台に住んでいる人くらいは、京成で通勤してもらう方法を考えてみた。もちろんこちらも、先ほどの「本八幡から都営新宿線乗り入れ」同様、経費的なものは度外視している。
既存の京成千葉線は、少々改良しても高速運転をさせるのは無理だ。とにかく、幕張−千葉間で、JRには一つもない踏み切りが10以上ある。そのうえ、カーブも多い。一部を高架にするくらいではたいして意味はなさそうだ。
そこで、思い切って地下化してしまうのだ。幕張本郷から地下に潜らせ、途中は乗降数の多い京成稲毛かみどり台に駅を作って千葉まで直通させる。そのまま、千原線まで乗り入れれば、先述の都営新宿線直通と組み合わせれば、ちはら台などのニュータウンと都内の所要時間は大幅に短縮される。さらに、現在JRに独占されている千葉駅から都内へ通勤する客も、かなり京成に流れる事が期待できる。
もちろん、これにあわせて既存の地上部分を廃止しては、利用者に不便をきたす。この部分は、千葉市内の生活路線として、2両編成の路面電車型車両(LRV)を導入する。日中の京成千葉線は、4両編成でもガラガラだ。あの状態を見ると、2両編成でも十分だろう。また、LRV導入によって、駅数も増やせる。そうすれば、沿線の住民の利用者も増えるだろう。
さらに、路面電車型車両を導入するついでに、幕張本郷から海浜幕張まで路面電車を建設する。最近話題になっている「LRT」というやつだ。現在、この区間は通勤時間帯は1時間60本のバスが発車し、しかも連接バスまで導入するなど、バスの輸送力の限界を越えている。
これが路面電車なら、3連接車なども走らせる事ができるので、通勤時の輸送は大幅に改善される。さらに、京成幕張本郷駅とバスターミナルを再構築し、同一ホームで海浜幕張行き路面電車に乗り換える事を可能にする。こうすれば、幕張本郷での乗り換え時間が短縮され、新都心通勤者の京成利用率も上がるだろう。
なお、この「既存の路線の地下を利用して線路増」は、かつて西武新宿線で計画されていた。しかし、経費と、沿線人口の増加が見込めない事から、中止を余儀なくされた。したがって、まともに考えれば、「ローカル線」の京成千葉線での実現はありえない。まあ、経済政策並びに福祉政策が抜本的に転換して出生率が上がり、日本の人口が急増し、ちはら台ニュータウンが満杯になるような日が来れば、検討に値されるかもしれないが。
かつての「日本最大の私鉄」である近鉄ですら球団を手放さざるをえないほど、鉄道経営は厳しい。したがって慢性的な赤字の京成に上記のような事ができるわけはない(仮に黒字でもやらないだろうが)。とはいえ、こうなったら便利だろう、と思って実現性ゼロの文章を書き綴ってみた。