幕張本郷駅と海浜幕張を結ぶ路線は、総武線から幕張新都心のビジネス街を結ぶため、大量の通勤客を運搬する。そのため、出勤時の朝8時台は1時間に47本もの本数のバスが発車する。つまり1.3分に1本発車するわけだ(時刻表。・路線図)しかも、その47本のうち20本は日本でも数カ所しかない連接バスだから、実際は1本に1両以上のバスが出ていることになる。バス路線ランキングみたいなものがないので日本一かどうかは分からないが、日本でも五指に入る本数を誇る路線だと思われる。
筆者は幕張本郷駅から電車で通勤しているので、駅のホームから見るだけだったが、その行列の長さには驚いていた。そしてホームから見ていると、バス停の所に改札みたいなものが設置されている。遠目なのでよく分からない。それが何なのか、非常に気になっていた。
その通勤時間帯の海浜幕張行きに乗る機会があった。朝8時半過ぎに家を出て、幕張本郷駅を通ってバス停に向かう。JRの改札から出てくる人は、列を作ってバス停のほうに向かう、その列は十数メートル先の京成から出てくる人の列と合流する。その流れは、大河が合流するさまにも似ていた。そしてより大きくなった列がバス停へと進んでいくのだ。
筆者もその列に混じってバス停へと進んだ。野球観戦で乗るときも、かなりの長い列ができるのだが、それとも次元の違う長大な列が複数できていた。
バス停の前方は、通勤時限定の「各駅停車・ハイテク通り経由海浜幕張駅行き」となっている。こちらもシャープ・キヤノン・IBMなどへの高層ビルへ向かう客が行列を作っている。ここだけでもかなりの混雑ぶりだ。
しかし、筆者が乗ろうとしている「急行・海浜幕張行」はそれにも上回る長大な列が二本できていた。しかし、バスの本数も多いので、列はどんどん動いていく。しばらくして、その「改札」の所に着いた。
急行バスの発車場所はロープで区切られていて、この「改札」を通らないと乗ることができない。そしてそこには、ワンマンバスの運転手の脇にある「バスカード読み取り機」があり、さらに二人の「改札係」がいた。
客の大半は定期を見せるだけだが、中にはバスカードや現金の客もいる。バスカードの客は改札係にカードを渡し、通してもらうのだ。
この幕張本郷−海浜幕張−マリンスタジアムを結ぶバスは区間運賃制で、5種類の運賃がある。しかし、この急行バスが止まるバス停は全て幕張本郷駅から210円となっている。そのため、このような「一括改札」が可能になっているわけだ。
改札を終えると再び行列になる。そして連接バスが到着し、三つのドアを開く。改札がすんでいるため、どこから入っても問題ないわけだ。連接バスだからかなりの収容人員があるが、またたく間にでつり革まで全て埋まり、バスは発車した。
バスが止まるのは「富士通」「NTT」「テクノガーデン」「海浜幕張駅」の4つだ。しかし、最初の「富士通」で客のほとんどが降りた。乗るときと同様、三つの出入り口から人がどんどん出て行った。
乗っている車体も走っている区間も、普段、マリンスタジアムや海浜幕張に行くときに乗る路線と同じである。また、立錐の余地のない混雑とて、野球観戦の時に経験している。
とはいえ、やはりその「改札つき」ゆえの独特の乗降風景や、続々と流れ込んでくる通勤客を「1.3分に1本」のペースで運ぶ様は、普段の「マリンスタジアム行き」とは違う、「日本有数の通勤路線バス」独特の雰囲気があった。