ネット時代における報道について
 インターネットやパソコン関連の報道で、疑問に思った事などを書いていきます。
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1・プロバイダの「コンテンツ」というもの

 雑誌等で、プロバイダを評価するとき、「コンテンツ」という項目がある。すなわち、そのプロバイダ独自のサービスである。11月に新装開店した「@nifty」などは、「最大会員数・最大コンテンツ」を売りにしているようだ。その「コンテンツ」というものは、プロバイダを選んだり、他人に薦めるときに、どの程度重視すべきものなのだろうか?
   現在、コンテンツの中で最も名高いのは、So-Netの「ポストペット」だろう。現在、TVでもポストペットを前面に押し出した宣伝を流している。そして雑誌の質問コーナーにも「ポストペットをやるにはSo-Netに入らなければいけないのですか?」という質問が載るくらいだ。
 しかし、実際はSo-Netに入っていなくてもポストペットは利用できる。筆者の家でも、So-Netに一円も払わずに、体験版を使い始めてみた。ただ、普通の利用者には有料のサービスがSo-Net会員なら無料、という事はあるようだが。
 筆者の知人にも「奥さんがポストペットやるのでSo-Netにした。でも時間帯によってはつながりにくくて困る」と話す人がいる。「つながりやすさ」というのを金額に換算するとどうなるか、というのは微妙な所だ。ただ、あまりつながりにくいのなら、無料の特典を有料にしてでも、もっとつながりやすいプロバイダに変更したほうが、少々出費が増えても、結果的には高い満足度を得ることができるのでは?という気がする。

 ポストペットなどは、大成功した例と言える。しかし、他のコンテンツはどうなのだろうか?。筆者が一年ちょっと前まで入っていたプロバイダには、「著名な写真家による写真集」というのがあり、宣伝もしている。一度そこに行ってみたのだが、会員であろうとなかろうと写真を見るのは有料で、そのプロバイダの会員なら、課金手続きが簡単にできる、というだけだった。
 確かにその写真に重大な価値を認める人なら、「課金手続きが楽」というのは重要な利点になるかもしれない。しかし、少なくとも金を払ってまで見る必要性は感じなかった筆者にとっては、会員サービスというより、単なる収益事業でしかなかった。
 あと、売りにできるコンテンツと言えば情報関係が多いようだ。しかし、パソコン通信時代ならとにかく、現在は「YAHOO!」などが無料で、ニュース・スポーツ情報などはもちろん、多ジャンルにおける無料掲示板を開設している時代である。また、個人や団体が運営しているサイトでも掲示板などで充実した情報を得ることができる。
 それに対して、プロバイダ直営のものが質的に上回っている、という事は特にない。たとえば、大相撲の結果を見る場合、「YAHOO!」ならば無料で幕内・十両の結果を見る事ができる。それをあるプロバイダ直営のコンテンツで見ようとすると、会員限定ページで別途情報量を取られた上に、幕内しか見る事ができない。
 もちろん、あらゆる「コンテンツ」が意味がない、と主張する気はない。現在利用しているDTIの「ブラウザでメールやFTPができる」や「WEB用スペースの利用状況や利用時間がわかる」は大変便利だと思っている。また、@niftyの「シェアウェア送金代行サービス」なども重宝している。ただ、DTIを愛用している理由において、「コンテンツが充実」というのは副次的なものでしかない。また、もしこれからプロバイダに入る人に尋ねられたとしても「送金代行が便利だから」という理由で@niftyを勧める気はおきない。

 プロバイダとしては、他社との差別化をはかる意味でもコンテンツに力を入れ、宣伝もするのだろう。しかし、そこにつぎ込む予算があるならば、接続料金の軽減と回線速度・つながりやすさの向上によって他社との差別化をはかってほしい、と考えている利用者は、筆者だけではないと思う。

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