WPC EXPO 2002見物記
2002/10/22
 2002年10月中旬に行われた、コンピュータ関係の展示会の見物記です。

1.携帯ストラップ型非接触式ICタグ
2.セキュリティいろいろ
3.タブレットPC
4.雑感

 
1.携帯ストラップ型非接触式ICタグ

 今年は、諸事情により開催二日目に仕事を午後だけ休んで見物に行った。したがって滞在時間は3時間半程度だったので全部見ることはできなかった。
 事前の宣伝では「新作デジカメ」「タブレットPC」が展示物の主体という感じだった。また、主催者企画として、「ストラップ型の非接触式ICタグを配布し、それを携帯電話につけて参加者の位置情報を受信し、その位置にあわせた案内メールを出す」というのを宣伝していた。
 受付の際にそのタグをもらう、その際スタッフの人に「金具の部分が壊れやすくなっているので、携帯に取り付けると外れやすいから注意してください」と言われた。どうやら、開催初日に携帯につけた人からクレームが来たようだ。確かに携帯の穴につける部分はチャチな金具だ。携帯のストラップ感覚でつけるのが目的なのだから、ストラップと同じ紐にすればよかったのに、予算をケチッたせいでこうなったのだろうか。
 仕方がないから、タグをポケットに入れる事にしたが、それをいちいち取り出すのはなんとなくマヌケな感じだった。
 タグの読み取り機は基本的にホールに入り口にある。タグを読み取り状況を示す画面の画像と効果音が、コンビニのam/pmなどで使える「Edy」と非常によく似ていた。同じ「非接触式ICカード」なだけに、同じ会社が使いまわしで作っただろうか。

 実際の使い勝手だが、とりあえず入ったホールの情報がメールで送られてくるのは確かに便利だと思った。ただ、時間がなかったせいもあり、メールがきっかけで予定外の企業のパビリオンを訪れる、などという事はなかった。あと、帰りの足の案内という事でか水上バスと都バスの案内メールが届いた。しかしながら、これは筆者の家と正反対の方向のものだけだったので、ちょっと萎えた。せっかくやるなら、事前登録の際に「帰りに経由する駅」を選ばせ、その情報をタグに取り込んでメールを出す、くらいの工夫が欲しかった。
 冒頭に書いた「携帯に取り付けられない」事にはじまり、この企画は成功ではなかったようだ。公式サイトの事後レポートに、この企画に関する記載は一切無かったことからもそう感じた。
 
 
2.セキュリティいろいろ

 昨年のコードレッドやニムダに代表されるウイルス・ワームの流行のこともあり、セキュリティに関するスペースも広かった。ちょうどそのあたりに行った時にセキュリティ問題の基礎の講義みたいなのをやっていたので聴いてみた。
 恥ずかしい話だが、それまで「ウィルス」と「ワーム」の区別をよく知らなかった。それがこの講義のおかげで「ウィルス・・・既存のプログラムに『感染』し、そのプログラムに異常な動作をさせる」「ワーム・・・既存のプログラムに関係なく、単独で動作し、パソコンに悪影響を及ぼす」という事を知った。
 確かに我が家のノートンアンチウィルスがワームと呼ばれる物を検知すると「ファイルの修復はできませんでした」という不安をあおるようなメッセージを表示する。確かにワームは元からが異常を起こすための存在なので、「修復」できるわけがない。その疑問がようやく解けた。
 もっとも講師が言うには、「最近ではウィルスとワームの機能を併せ持つようなプログラムが増えてきているので、両者の境界線はつけにくくなっています」との事。せっかく得た知識だが、実際に役立つことはなさそうだ。

 ところで、場所が分からなかったので行くことはできなかったのだが、「あなたのパスワードの脆弱性を調べます」というコーナーがあったそうだ。数ヶ月前に主催社のメルマガに掲載されていたパスワード安全性調査サイトと同じ方法で安全性を調べるシステムらしい。という事は、オチもこのサイトと同じなのだろうか、とちょっと気になった。
(※どういう「オチ」かをご存じない方は、上記サイトをご覧になってみてください。なお、サイトを利用した事によって生じた結果については、当方では一切関知いたしかねます)。
 
 
3.タブレットPC

 冒頭に書いたようにMicrosoftの「タブレットPC」は今回のイベントの目玉展示物の一つである。タブレット(書板)PCとは何かと簡単に言うと、ペンを使って直接ディスプレイに情報を入力するパソコンの事である。したがって本体が液晶ディスプレイのみになり、書板のように見えることからこの名前になったと思われる。
 しかしながら、キーボード・マウスを使わずに、ペンでディスプレイを通じて文字・カーソル情報などを入力するパソコン自体は何年か前からソニー日立が出している。これらの製品は、発売時にちょっとニュースにはなったが、目だったヒットもなかったし、他社も追随しなかった。
 筆者自身、手書き文字を認識する電子手帳を使っているが、認識力が完全ではない上に、自らの悪筆のひどさもあり、なかなか認識してくれない。結局、画面上のキーボードをペンで押す方式に変更してしまった。

 そういう事もあり、率直に言って見る前はたいして期待はしていなかった。とりあえず触ってみたものの、まず「ダブルクリック」に相当する「ダブルタップ」とかいうのが上手くできない。10回くらいやってやっと成功した。次にExcelを立ち上げて手書き入力をしてみる。とりあえず計算式を打ち込もうとして「=」と入れようとしたのだが、何回やっても「二」が入力されてしまう。
 「やはりペン入力や手書き認識なんてこんなものか」と思った。しかし結論を出すには早すぎる、と思い、もう少しいろいろといじってみた。すると、「ダブルタップ」もしばらくしてできるようになった。「=」もよく見たら入力フィールドのところに「数字・記号」みたいな選択肢があり、そこを選択したら、一発で「=」と変換できた。
 「これはなかなか優秀だ」と思い、色々な文字を入力してみた。ただでさえ悪筆なところを、さらに崩して書いて見たりしたが、タブレットPCはそれらを全て認識した。筆者の電子手帳とは大違いである。
 触る前の否定的な先入観は払拭され、さすがはビル=ゲイツ氏が自信を持って売り出すだけの事はある、と感心した。モバイルコンピューティングをしている人や、キーボードに苦手意識を持っている人などを対象にヒットさせる事も可能かもしれない。ただ、やはり問題は販売価格だろう。
 タブレットPCにを大別すると、ノートパソコンとしても使える上にキーボードを折りたたんでタブレットとして使えるものと、タブレット専用ものに分けられる。前者はともかく、後者については同スペックのノートパソコンより安くしないと、なかなか受け入れられないだろう。購入を決める人は「よくわからないタブレットPCより、ノートやデスクトップのほうが安いのだからそちらを買えばいい」と考えるのが普通だからだ。
 現時点では販売予定価格はノートパソコンより高いそうだが、ぜひとも思い切った価格のものを出してヒットさせてほしいものだ(※もちろん、「安かろう悪かろうで」では困るが)。

 
 
4.雑感

 今回は、昨年や1999年ほどは時間が取れなかった。そこでPC EXPO全体というよりは、事前に興味を持っていたブースをピンポイントで見るような感じになってしまった。その中ではタブレットPCを中心に、興味深い情報をいくつか得ることができた。
 さほど多くの社をまわったわけではないので、総評というほどの事はできないのだが、いくつかの会社の展示で気になった事があった。「クイズに答えてプレゼント」という感じの企画をやり、プレゼントにたどり着くには、自社のブースを全部見なければならない、という仕組みにしていた社がいくつかあった。一見、多くの人に自社のブースを見てもらえるので宣伝効果があるように見える。しかし、プレゼントのみを目当てにしている人は展示物は「目に入る」だろうけれど「見る」事はないだろう。
 筆者が以前から興味のあった会社がその方式を採用していた。展示物の各所にクイズの答えを掲示し、それを全部書き取るとキーホルダーがもらえる、という企画だった。そのクイズ目当ての人が多くて身動きが取りにくく、結局展示物のほとんどを見ずに出てしまった。このあたりは一考の余地があるのでは、とも思った。

 あと、これは以前から思っていた事だが、このイベントはなかなか一息つける所がない。いくつかあるにはあるが、硬い椅子があって清涼飲料水と軽食のスタンドがある程度だ。ちょっと無駄でも主催社ブースみたいな感じで、ゆったり座りながらイベントの見所をスクリーンで紹介する、みたいな所があってもいいのでは、という気もする。そこで体力を回復させながら情報を得ることができれば、来場者も満足感も上がるのではないだろうか。

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