筆者がPHSを入手したのは、1997年の夏であった。当時住んでいた東中野の駅前で、アステルが「端末・契約事務手数料無料」という触れ込みで営業活動をしていたからだ。
当時の筆者の携帯・PHSに対する認識は、「とりあえずPHSのほうが使える地域は狭いが料金は安い」という程度のものでしかなかった。ちなみに、携帯・PHSの企業の勢力図などは全く持って知らなかった。
まあ、「どうせたいして使わないのだから、携帯かPHSなら安いPHSのほうがいいかな」とは思っていたので、この駅頭配布は渡りに船だったと言えたかもしれない。
実際、入手したものの、使う機会はそうはなかった。特に当時住んでいたアパートは電波が届かないところにあった事もあり、かかってきても応対できないケースが多かった。したがって、家族などのごくごく内輪の非常連絡手段および、年間に数日ほどの外での連絡くらいしか使うことはなかった。
また、かけるのは金がかかるので、ほとんど公衆電話を使っていた。その結果、せっかく入手したものの使用頻度は低く、外出時に持ち忘れる事も多々あった。
最初に便利さを痛感したのは、幕張本郷に引っ越してきた当日であった。何かの手違いで通常の電話が引っ越した当日には開通しなかったのだ。そこで、PHSを使ってNTTと連絡を取り、被害を最小限に食い止める事ができた。余談だが、家の中でもPHSが使えたのにはちょっと感動した。
とはいえ、その日以外はやはりPHSを使う日は少なかった。それは結婚しても変わらなかった。外出する時に持ち忘れる癖も相変わらずで、現在に至っている。
筆者がそのような原始的な使い方をしている間に、携帯・PHSの機能は着実に進歩していた。メールの送受信はもちろん、Webページの閲覧までできる機種が登場した。加入者総数も固定電話を上回り、iモードは加入者は一年でニフティの会員数を上回った。
流行に疎い筆者も、「携帯・PHSについて行かないと、時代に取り残されるな」と思うようになった。そこで手始めに、機種変更をしてみた。もっとも、購入した機種は発売後一年以上たっており、価格は980円だったが。
当初は、それでメールの送受信をやってみるつもりだったのだが、調べてみたところ、アステルの場合、一回の送受信でやけに金がかかる、という事で断念した。結局、新機種でやった事は「着メロの登録」だけだった。
これでは結局時代の流れについていけないので、現在、Webの閲覧できる携帯に買い換える事を検討中である。いろいろと情報を集めてはいるが、前回の二の舞になる事を恐れ、なかなか購入に踏み切れない。