携帯情報端末利用記その5・

FOMA
 
2002/11/19

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 ドコモが最大384kbpsでネットに接続できる「第3世代携帯電話」が出る、と発表したの2000年の春先だっただろうか。当時はまだADSLが「都区内の一部で、最大下り512kbpsのADSLのサービス開始」というレベル。ISDNを使っていれば「先進的」と評価される時代だった。そんな中でいきなり、「ADSL並の384kbpsでネット接続できる携帯電話」というのはかなり衝撃的だった。当時はDocomoのD502iを購入したばかりだったが、「次に買うときはこの第3世代にしたい」と思ったものだった。
 しかし、「FOMA」というブランドで始まったDocomoの第3世代携帯電話はその後迷走を続けていた。当初の予定だった2001年5月のサービス開始は半年ほど遅れた。さらにその端末は「高い・つながらない・電気を食う」という携帯電話として致命的な三重苦をかかえていた。高速接続を初めとする新機能は確かに魅力的だが、あくまでも「既存の携帯電話の機能を維持した上で」というのが前提条件である。それをクリアできていないFOMAにユーザーがつかないのは当然の帰結だろう。当初目指していたユーザー数の一割程度しか獲得できていないようだ。
 というわけで筆者も、当時の「憧れ」は忘れ去ってしまい、、値段が下がっていた503isシリーズへの機種変更を検討していた。そしてある日、503isの機種変更が3,000円程度で販売されていた。衝動買いしようかとも思ったが、一旦は待った。これが大悪手で、次に店に行ったときは、販売が終了していた。

 千載一遇のチャンスを逃してしばらく、新たに504iシリーズが発売された。従来の携帯が9600bpsなのに対して最大28.8kbpsになったのとiアプリが進化したのが売りとのことだった。その頃になると、FOMAもそれなりに値下がりし、504iより安くなっていた。加えてFOMAの新サービス「デュアルネットワーク」により、月300円で従来の携帯とFOMAを併用できるようになっていた。以上により、FOMAの「三重苦」のうちの「高い・つながらない」が、いちおう解消された。
 時をおなじくしてこれまで使っていた502iが故障して音が出なくなった。したがってこれまでの「いい機種があったら買い換えようか」という状態から「速やかに買い替えの必要がある」に変化した。そして、先述したようにiアプリが使える機種で一番安いのが、FOMAになっていたため、一度は忘れ去ったFOMA購入を決定した。

 504iより安いFOMAは限られていてNECのN2002と松下のP2002のみである。どこが違うのかよくわからなかったが、なんとなくNECにした。
 いくつかの店で値段を比べたところ、千葉のヨドバシが安かった。そこで店員に機種変更の旨を申し込んだが、「DocomoのN2002」と言っても若い店員さんは「そんな機種あったっけ」という感じでキョトンとしている。先輩店員が「それはFOMAだよ」と指摘してやっと分かったような感じだった。いかにFOMAが売れていないかがよくわかる一幕だった。
 その先輩店員に機種変更の手続きをしてもらったが、「FOMAは『つながらない』というクレームが大量に来ています。購入する際はそれをご承知の上でお願いします」と何度も繰り返された。よほどクレームで辛い体験をしたのだろう。あらかじめFOMAに決めていた筆者ですら一瞬購入をやめようかと思ったほどの熱心な「逆勧誘」であった。
 結局初心を貫いて購入した。最初に千葉駅で箱を開けたらアンテナが立ったので一安心する。さらに帰宅して電源を入れるとアンテナが3本立った。ダイヤルしたらちゃんとつながった。本来なら当たり前のことだが、やけに嬉しかった。おそるべし、FOMAである。
 「つながらない」のほうは大丈夫だったが、「電気を食う」は予想以上のすごさだった。とにかく、ちょっと油断して充電を忘れるとすぐに電池切れとなるのだ。ある日、外出勤務があった日に電源が切れ、えらく不便した。それ以来、外で電話を送受信する必要がある日は、デュアル契約した502iと二台持つよう、気をつけている。
 FOMAの「売り」の一つである「iモーション」などには最初から興味がなかったので、いまだに使っていない。今のところFOMAの新機能を体感したのは、モバイル用Googleを使って一般サイトを携帯で見た時だけである。これまでの502iだと時間をかけて表示するページを、携帯専用コンテンツと同じくらいの速度で表示してくれた。今のところそれが唯一の「FOMAの特徴を体感」した経験である。
 というわけで結果的には「FOMA」というよりは「503.5i」という感じで使っている。今のところ電源を除けば特に不便は感じないが、他人に勧めるかどうかといえば微妙、という使い心地である。


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