魁!男塾・ギャラクシイ三十二聖戦の巻(嵐馬破天荒氏)

2003/05/06

掲載・1988年のファンロード10月号
 「魁!宝竜黒蓮珠」に続く「魁!男塾」パロディ第2弾。「魁!男塾」(ストーリーなどの詳細をご存知ない方はこちらのファンサイト参照)で、主人公たち一号生が最上級生の三号生と「大威震八連制覇」の闘いをやっていた頃、ファンロード誌の読者投稿欄で、ある人が「男塾は次に三号生と一緒に外国の男達と闘い、さらにその次は外国人の敵も仲間にして宇宙人と戦う」と「予言」した。実際に「男塾」が三号生と一緒に外国人と闘いだしたため、「その次は宇宙人」という期待が高まった所に発表されたのが本作である。
 冒頭は「天挑五輪」(三号生とともに外国の男達と闘うイベント)の終了後1ヶ月、久々に男塾に登校する桃たちの場面から始まる。ちなみに「男塾」で新シリーズが始まる時の導入部分は常に「久々の登校」だった。そこにいきなり宇宙船が現れ、桃たち男塾生を「ギャラクシイ(ギャラクシイ)三十二聖戦」に招待する。そして月面の闘場で「イカゲル星、三十二イカゲル星人」と闘う、といったもの。基本的には前回の「天挑五輪」をそのまま宇宙に置き換えた、という感じだ。
 イカゲル星人の外見は、いわゆる「火星人」のタコをイカに置き換えたような感じ。ただ、上半身は人間と同じで筋骨隆々だ。このイカゲル星人は雷電によると、「奴らに滅ぼされた惑星は数知らず、その凶悪さは宇宙一」だそうだ。何でそんな所まで知っているのか、と突っ込みを入れたくなるようなセリフだが、この作品ではそれらのセリフが、当然の事のように展開される。
 第一戦は、前狼髏館館主の宗嶺厳対イカゲル星人クリラン。宗嶺厳は得意の翔穹操弾で攻撃を仕掛ける。ところがクリランは平然と、「フフ、知っておるぞ、翔穹操弾とは体内に(小さな金属を)打ちこみ、筋肉組織を刺激することにより相手を意のままに操る技。だが、地球人とイカゲル星人の筋肉の構造の違いにまでは気づかなかったようだな!」と豪語する。
 そして今度は手からイカゲルゲバゲバ(ゲバゲバ)光線で攻撃してくる。この技は大宇宙出版刊「イカゲル星人の凶悪」によると、体中の気を一点に集中させて攻撃する。(中略)なお、火星のことわざにある「手から光線が出るほど忙しい」はこれに由来するだそうだ。
 イカゲルゲバゲバ光線で宗嶺厳を追い詰めるクリラン。ところが、とどめを刺そうとしたとき、いきなりクリランの手のひらが、自分に向かって曲がる。驚くクリランに宗嶺厳は「−馬鹿め、俺がイカゲル星人と地球人の体の構造くらい知らぬとでも思っていたのか・・・」と言い放つ。
 そして、自らにイカゲルゲバゲバ光線を撃って燃え上がるクリランに「自らの光線で焼きイカにでもなるんだな」と決め台詞を言うのだ。
 何で初対面の宇宙人の肉体の構造を知っているんだ、などと突込みどころ満載な話を、「男塾」の普通の闘いのように淡々と描いている。そのギャップが激しすぎて、読んでいる時は笑いが止まらなかった。

 結局、原作の「魁!男塾」は「天挑五輪」の後、その時の敵を仲間にするが、次の相手は宇宙人でなかった。そしてその闘いは盛り上がらないまま、途中で強引に打ち切られ、連載そのものもほどなく最終回をむかえた。やはりあそこは宇宙人を出すべきだったのだろう。
 なお、「男塾」の宮下氏は現在、桃の息子を主人公にした「暁!男塾」を連載している。ちょうど先日、外国の男達との闘いが終わり、新シリーズに突入した。そしてまた「久々の登校シーン」から始まったのだが、筆者は真面目に「今度こそ宇宙人と・・・」と思いながら読み、次の敵が地球人だと知った時は、かなり落胆した。




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