その後は、この日のもう一つの目的地である札幌ドームに行く。札幌から地下鉄東豊線というのに乗るのだが、ちょうどこの「共和国」のあるデパートと駅はつながっている。そこで降りていったのだが、地下2階あたりの踊り場に百円ショップが入っていたのが面白かった。
その東豊線に乗って、終点の福住駅で降りる。改札を出るといきなり、地下道にファイターズの横断幕が何枚も出ていた。地下鉄という事もあるのだろうが、海浜幕張駅よりも一枚上手だ。これで、海浜幕張駅のように、電車の発車音をファイターズの球団歌にすればより完璧だな、などと思った。
しばらく歩いて球場へ向かう。やけに風が強く、「なんかマリンスタジアムに行っているみたいだな」などと思った。そして歩道橋を渡って球場につく。球場向かいの店が「頑張れ、ファイターズ・コンサドーレ」という電光掲示板を出していた。このあたりにも、「地元球団」という雰囲気がよく出ている。
札幌ドームでは、試合のない日に「ドーム展望台開放」と「ドームツアー」という企画を開催している。展望台は、球場の屋根近くにある、高さ53メートルで、ドームの内外を見ることができる。ここに行くには、まずエレベーターで3階に上がる。そこは、野球開催時に「アリーナビューシート」と呼ばれる所のようだ。カウンターがあり、そこで飲食しながら試合観戦も可能となっている。
そのまま、バックネット裏の上まで行くと、長大なエスカレーターがあり、そこから展望台へいくようになっている。
左・そのあたりからドームを撮った写真。グランドでは草野球が行われている。右・展望台にのぼるエスカレーター。※いずれもクリックすると同じ窓で大きな写真が開きます)
展望台はドーム内とドーム外に一つずつついており、中のものはドーム全体が見える。また、外についているものは、高さ53mから札幌市さらには周辺の山々や日本海まで見ることができる。ただ、この日はあいにくの雨だったため、なんとか札幌駅ビルが判明できた程度だった。
一通り、ドーム内外を見ているうちに「ドームツアー」の時間になった。集合場所にあまり人がいないので、数人での「ツアー」かと思ったら、名古屋からの団体客が直前に現れ、かなりの大人数になった。
最初は、試合時に見ることができる通路を歩いて、「球場内の売店は、一塁側と三塁側にそれぞれ同じ店が対称的に配置されている」などという説明を受ける。続いていよいよ球場に入り、まずスタンドに座った。そこで、バックスクリーン近くに新庄選手が個人で出した広告があるなどの説明を受ける。続いて、札幌ドームの名物である、「野球場⇔サッカー場」の転換システムの説明があった。
以前から、札幌ドームでの野球中継を見ている時に、左右の外野席にある「切れ込み」の存在が気になっていたのだが、あれはその転換システムの一環である事を知った。あそこからバックスクリーン部分が開閉し、そこから、外で育てている天然芝をドーム内に入れるとのこと。その豪快な仕組みは、ある程度知識があってもやはり驚かされた。(なお、この仕組みの詳細に興味がある方は公式サイトの解説ページをご覧ください)。
ちなみに、右下の写真は、そのサッカーの試合時にドーム内に入る芝。と言っても、雪に覆われている。しかしながら、ドーム内に置いたままだと数日でダメになるそうだ。ドーム内より雪の下のほうが生育に適しているというのだから、自然というのは面白い。
左・新庄選手が自ら出した広告。左・ドーム外で雪に覆われている芝。サッカー時にはこれがドーム内に入る。※いずれもクリックすると同じ窓で大きな写真が開きます)
その後、今度は普通の試合時には入れない「関係者専用」の所に行った。まず最初にブルペンに行く。客が地方から来た人だという事を意識したためか、見学するのは「ビジター」である一塁側だ。ブルペンの映像はたまにTVで見るが、当然ながら、画面で見るより、プレートからベースまでの間は長く見える。
続いて選手が試合前などに軽食を取る部屋を見る。案内の人に見るように言われたので、見てみると、床一面に細い溝のようなものが入っている。なんか独特の意匠なのかと思ったら、続けて、「この床は元々何の模様もありません。これらの線は全て選手のスパイクによるものです」という説明が入った。そう言われると、改めてスパイクを履いた選手がここを歩いている姿が想像できた。
続いてロッカールームに。サッカーではW杯の時にイングランドが使ったとのことだが、ベッカム選手のファンは、どれか一つは彼が使ったという事で、全てのロッカーをさわったそうだ。また、入口に近いところが「最上席」で、たとえば清原選手はそこをいつも使っていたらしい、などという解説もあった。マリーンズファンとしては、「あのへんを福浦選手が使って、あのへんは西岡選手か」などと思いを馳せたりして面白かった。
その後、シャワー室などや監督室など、一通りの施設を見た。草野球の試合がなければ、ダグアウトにも入ることができるそうだ。
というわけで、展望台・ドームツアーとも大いに楽しむことができた。これで1,200円ははっきり言って安いだろう。しかも、展望台開放のために、長大なエスカレーターを常時動かしており、人員も配置している。ドームツアーにしても、専門の案内人がいるわけだし、電気代などもかかるだろう。少なくとも、今日の人の入りを見ている限り、黒字が出ているかどうか疑問だ。とはいえ、このようなサービスを用意しているというのは、遠くから来た身としては本当に嬉しい。自然と、「この次はぜひ試合が行われている所を見に行きたい」という気持ちになった。ファン感謝デーの時に球場に入るのでさえ長い行列に並ばされるほど閉鎖的な、我が地元球場とはえらい違いだ。
マリーンズの球団社長も、「海浜幕張駅から球場までの歩道を人工芝で舗装する」などと意味もなく出来もしない事を言う暇と予算があるなら、この「ツアー」を行ってほしいものだと思った。(※もちろん、マリーンズのファンサービスも意欲的だという事は理解しています。念のため)。