ときめきの放課後

   コナミのクイズゲーム「ときめきの放課後」について特に印象に残ったことを書きます(一応、ネタバレみたいな記述もあります)。
  筆者はときメモはそこそこやりこんでいる。とはいえ、グッズだのドラマや歌のCDを買うほどまではハマってはいない。ゲームは本編の他に「ぱずるだま」「プライベートコレクション」「虹色の青春」を買った。一方、「とっかえだま」と「彩のラブソング」を買わなかった。
 それらの購入の判断基準は外井が出ているかどうかにある。そういうわけで、このクイズゲームが出た時は、外井に関する情報がなかったのでしばらく購入は控えていた。しかし、ある所で、「外井が活躍している」という情報を入手したため、購入した。
 最初のパートナーはやはり同じ声優の早乙女好雄、最初の年の8月、伊集院の誕生パーティーでいきなり外井が出てきた。しかも「そのお召し物では少々ご遠慮いただいております」に続いて「せっかくいらしたのですから私がお相手致しましょう」と、いきなり告白(?)してくれたのだ。
 さらに、クリスマスパーティーでは、西欧貴族みたいな礼装を披露してくれた。伊集院家パーティーのイベントはランダムなのだが、最大で6回もの登場場面が生じたのだ。これは、「ときめき」シリーズでの最大記録であろう。
 しかし、「入場許可」「お断り」「真の入場許可」の区分がはっきりしていないため、どのようにすれば確実に外井から「真の入場許可」をもらえるかがはっきりしないのには困る。ついでに言うと、せっかく出番を増やしたのに、肝心の「3月1日の白タキシード」がないのも惜しまれる。だが、総合的に見れば、登場回数・セリフが増えたので高く評価していいだろう。
 


  当初は、このゲームのクイズの部分は軽視していた。なんかよそのゲームで出た問題なども散見されたからだ。しかし、やっていくにつれて、クイズそのものはともかく、選択肢にとんでもない濃さがある事に気づいた。
 最初に驚いたのは「ヨーグルトきのことは何か?」である。このアイテムは、朝日奈さんの一年生の時の誕生プレゼントだが、なんでも「ケフィス菌入りヨーグルト」が正式名称なのだそうである。
 それ自体は別にどうってことないのだが、選択肢の一つに「しいたけヨーグルト」というものがあったのだ。これは、県立地球防衛軍に出てくる「九州某県が開発した新商品」である。筆者は「ときメモ」本編で「ヨーグルトきのこ」という言葉を見た時、真っ先に「しいたけヨーグルト」を思い出したのだが、作り手にも同じ考えの人がいたんだなあ、と感心してしまった。
 そしてさらに「県立地球防衛軍で食通タイガードラゴンも手を焼いた食べ物は?」というクイズを見た時は驚いた。作成者もよほど「しいたけヨーグルト」が心に残っていたに違いない。
 もう一つ衝撃を受けた選択肢があった。それはジャンル「文学」の「走れメロス」作者は誰か?、という問題である。もちろん正解は太宰治だが、選択肢の中に「長井健」というのがあったのだ(ただし、ながい閣下の本名は「長井建」だが)。
 もちろんこれはながい閣下の「走れセリヌンティウス」を意識しての選択肢なのだろう。これを考えた人も、筆者と同じように、あの作品が心に強く刻まれているのだろう。
 


  10月に「学園祭の出し物」という設定でミニゲームができる。特に工夫が凝らされている作りのゲームはないが、どれもなかなか面白い。
 筆者が当初ハマったのは、電脳部の「迷路ゲーム」だった。迷路の図面と、スタートからゴールまでの方向指示の矢印が表示されている。その方向指示の一部をプレイヤーが選択して正しい道筋を決める、というものである。慣れればたいした事はないのだが、感覚をつかむまでは相当苦労した。
 嫁さんがハマったのは、科学部の落ちゲーだった。率直に言えば「ぱずるだま」に「ぷよぷよ」の要素を付け加えたもの、である。落ちるのがビーカーやフラスコなのと、ボーナスグッズみたいな感じで殺人コアラが落ちてくるあたりで「科学部」色を出している。

 話はずれるが、「落ちゲー」というのは、すでに行き着く所まで行き着いたジャンルではないか、と筆者は考えている。今後、多少の新アイディアが付加される事はあるだろうが、単体で商品として成立させるのは相当難しいだろう。むしろ、このように「ミニゲームの一つ」という形のほうが生き残るにはいいのかもしれない。

 あと、気に入ったのは文芸部の「百人一首」であった。実は筆者は中学校の頃に百人一首に少しハマった事があった。最盛期で50首くらい覚えていたかもしれない。今回、十数年ぶりにやってみたが、案外記憶に残っていたようで嬉しかった。


  「ときメモ」本編と同様、このゲームも特定の時期に特定の相手を選択すると、イベントが発生する。その中で、筆者が特に気に入ったのをいくつか紹介したい。
 まず、「運動会中止」ネタ。毎年6月に行われる運動会が中止になる事がある。その時、好雄を選んでいると「俺のフォークダンスを返せ! フォークダンスー!!」と絶叫するのだ。また、紐緒さんを選んでいると、その雨が彼女の意志であった事が判明する。
 次に、七夕ネタ。紐緒さんは七夕生まれだが、本人は七夕伝説のような非科学的なものは好きではないようだ。そこで、七夕廃止を計画する。方法は「アルタイル(牽牛星)とベガ(織女星)を動かしてくっつける」というものだ。発想の豪快さが彼女らしくていい。まあ、すでに「携帯型小型原子炉」などというものを発明し、米軍の人工衛星をハッキングできる科学力を持つのだから、いつか実行できてもさほど不思議ではないか。
 あと、これはインパクトはないのだが、ホテホテして好きなのが、古式さんと行く秋の山。紅葉と古式さんのとりあわせのグラフィックがいい。
 EDでは、やはり好雄のが一番いい。全国のやおいフリークの期待には沿っていないが、「夕日をバックにこれからもナンパ仲間としての友情を誓い合う」というのはなかなか笑えていい。
 そして、このゲームで一番良かったのは、伊集院の演説である。2年の3月の卒業式に伊集院が乱入して演説し、最後にバラの花を降らせるのだ(ちなみに主人公はライトアップ係)。いきなり先輩を「卒業生の諸君!」と呼ぶ所から始まり、その演説の豪快さは素晴らしい。
 これまで伊集院の「高慢さ」は「恋する乙女心の裏返し」みたいな扱われ方をしていたが、このイベントは純粋に伊集院の高慢さが表現されていて面白い。

 以上、いろいろと書き連ねてきたが、マニアックなクイズゲームとしても、「ときメモ」のエピソード集としてもなかなかよくできていると思う。「ときメモラー」の方もそうでない方も一度やってみるといいと思う。

 

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